
【最新データ】人口減少と東京。一極集中が示す、これからの不動産投資の勝ち筋
総務省の最新データによると、日本の総人口は前年比約55万人減少。かつての人口増加時代から、いよいよ本格的な人口減少時代に突入しました。一方で、東京都は約9万人の人口増加を記録し、三大都市圏への一極集中は加速しています。
この“人口の二極化”は、不動産投資戦略を大きく変える重要な要素です。投資エリアの見極め方を最新データから解説します。
日本の総人口は
不動産投資をする上では、一般的に都心までの距離、駅からの距離、街の利便性などに加えて人口の動向も重要視されます。不動産投資をする上で人口問題は極めて重要なファクターとなります。近年では限界集落や消滅都市などとてもネガティブなWordも世の中に浸透してきています。
不動産投資そのものを長期の視点で見る事はとても大切ですが、あまりにも長期となると視点がぼやける可能性もあります。しかし現代においては10年後、20年後、30年後の様々なAIによるデータの予想も可能になってきています。かつて人口がどんどん増える時代においても数年後には人口がピークアウトするという予想はあった訳です。
かつての人口増加時代から明確な人口減少時代に突入しました。総務省の発表した住民基本台帳に基づく日本の総人口は1億2,433万690人で、そのうち日本人が1億2,065万3,227人、外国人が367万7,463人となっています。前年より約55万人、0.44%の減少です。前年比何と55万人もの人口が減少した訳です。
ちなみに全国の中で人口55万人に相当する県は鳥取県(約54万人)です。一つの県に相当する人口がまとまって減少したとも言える訳です。さらに日本人人口だけを見ると約90万人の減少となっています。
都道府県別の人口動向は
都道府県別の人口では最も多いのが東京都で1,400万2,534人でした。次いで神奈川県、920万2,559人、大阪府877万1,961人、愛知県748万3,755人などが続いています。
東京都と神奈川県で人口は合わせて2,300万人を超え、世界的な大都市を形成している事が分かります。かつて日本の経済対策として「四全総」「多極分散型国土の形成」などがあり、東京一極集中をいかに止めるかという政策を基に推移してきましたが、いまだ東京一極集中には歯止めがかかっていない状況となっています。また大阪、愛知と言った三大都市圏の人口が多い事も分かります。
◼︎人口の多い都道府県
順位 | 都道府県 | 人口 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 1400万2,534人 |
2 | 神奈川県 | 920万2,559人 |
3 | 大阪府 | 877万1,961人 |
4 | 愛知県 | 748万3,755人 |
5 | 埼玉県 | 737万4,294人 |
都道府県別の人口増加数
都道府県別の人口の増減には地域格差が大きい事が分かります。47都道府県中人口が増えたのは東京都と千葉県のみで、あとの道府県は減少となりました。
人口増加数が最も多かったのは東京都で人口増加数は約9万人、2位は千葉県で1,421人の増加です。以下は人口が減少ですが、減少数が少ない順に沖縄県、大阪府、埼玉県などが続きます。
東京都の人口増加数が際立って多くなっていますが、この要因として下記などが挙げられます。
- 東京は大企業を中心に多く集積しており女性の雇用機会も極めて多い事
- 商業施設のみならず多様な文化が多く集積しており生活利便性はもとより人々を引き付ける魅力ある街である事
- 鉄道を始め交通機関が充実しており車を所有しなくても利便性を享受できる事
- さらに再開発の加速が随所で進んでおり将来性が高い事
◼︎人口増加数の多い都道府県
順位 | 都道府県 | 人口増減数 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 9万0,632人 |
2 | 千葉県 | 1,421人 |
3 | 沖縄県 | △ 1,588人 |
4 | 大阪府 | △ 3,747人 |
5 | 埼玉県 | △ 4,345人 |
◼︎人口減少数の多い都道府県
順位 | 都道府県 | 人口増減数 |
---|---|---|
1 | 北海道 | △ 4万9,158人 |
2 | 兵庫県 | △ 3万3,256人 |
3 | 静岡県 | △ 3万0,765人 |
4 | 新潟県 | △ 2万6,918人 |
5 | 福島県 | △ 2万3,905人 |
人口増加率が最も高かったのは東京都で0.65%の増加、次いで千葉県が0.02%の増加となりました。以下は人口増加率はマイナスですが、少ない順に大阪府、埼玉県、神奈川県が続きます。こうしたエリアは減少していると言っても減少率は0.1%以下であり、ほぼ横ばいと言ってもいいレベルとなっています。
◼︎人口増加率の高い都道府県
順位 | 都道府県 | 人口増減率 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 0.65% |
2 | 千葉県 | 0.02% |
3 | 大阪府 | △ 0.04% |
4 | 埼玉県 | △ 0.06% |
5 | 神奈川県 | △ 0.07% |
東京や三大都市圏に人口が集中していると言っても、地方都市でも注目を集めているエリアは数多くあります。またIT企業の誘致や観光地としての発展なども含めて地方都市の発展も続いており、地価が上昇している都市も多くあります。マクロの視点で見ると人口が減少していても、ミクロの視点で見ると人口の増加している道府県もあります。
今後大きく伸びる可能性のあるエリアもありますので、今後の不動産投資のエリアとして将来性の高いエリアを探してみるのも一つの方法と言えます。
東京都の就業人口動向
東京都の発表した「東京の労働力2024」によると、2024年の東京都の就業人口は、884万7千人で前年より6万8千人増加しました。男性は457万7千人で1千人の増加ですが、女性は386万9千人で6万7千人も増加となっています。東京都は女性の就業人口が大きく増加している事が分かります。
注目される外国人人口の動向
日本人の人口は減少が続いており16年連続の減少となりましたが、外国人人口は前年比35万人以上増加しており、外国人の増加が続いています。
また今後の人口減・労働力をカバーする対策として外国人との共生問題がクローズアップされています。先日もテレビで報道されていましたが、神奈川県の鶴見区においては国際戦略特区として日本初の外国人との「文化共生ラウンジ」が開設されました。
アジアや南米から多くの就業者が訪れ、日本語や日本文化、マナー・慣習などを学んで頂き地域住民との交流を深める場として、また地域住民との交流を深める場としても非常に注目を浴びています。
今後は政府及び各自治体主導によるそのような拠点を多く設ける事により、人口減に悩む地方都市の活性化が大いに期待されます。実際、筆者がセミナーなどで講演させて頂くと、外国人の方の参加人数がとても増えています。また賃貸入居者においても年々増えているようです。簡単に言うと日本人そのものは減少しても住む人の人口は減りづらいという事です。 幸い現代においてはIT、AIなど様々なテクノロジーを駆使した言語対応が可能な時代となりましたのでコミュニケーション能力がますます高まると期待されます。
◼︎外国人人口の多い都道府県
順位 | 都道府県 | 人口増減数 |
---|---|---|
1 | 東京都 | 72万1,223人 |
2 | 大阪府 | 32万8,128人 |
3 | 愛知県 | 32万1,905人 |
4 | 神奈川県 | 28万4,889人 |
5 | 埼玉県 | 25万7,656人 |
先日筆者は国土交通省の関係者の方との意見交換会に参加しました。国の住宅政策においては住宅ストックを拡大する方針ですが、今後人口は減少していく訳です。
つまり国民一人当たりの住宅は過剰状態となるのは明白で、そのための住宅政策について意見を交わさせて頂きました。今後住宅に求められるのは、量ではなくあくまでも質(クオリティ)となる訳です。
人口減社会の中で快適で豊かな住生活を送れるような住宅政策が求められますが、そのためには国が推進しているコンパクトシティを始めとする利便性の高い立地により魅力を感じる国民が増えてくるのは明白です。投資向けワンルームマンションなどは今後増えていく単独世帯向け住宅としても長期に渡って需要が持続していくと考えられます。
これから不動産投資をする方は今回のコラムを参考に人口動向にも着目して頂ければ幸いです。