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年俸25億円の八村塁選手に見るプロスポーツ選手の税金事情

2019年に日本人で初めてNBAドラフト1巡目指名を受けたバスケ界のスター・八村塁選手。7月7日(現地時間6日)に3年5100万ドル(約75億3500万円※)でロサンゼルス・レイカーズとの再契約を交わしたことが発表されました。

年俸に換算すると1700万ドルとなり、前シーズンの年俸626万3188ドルと比較して約2.7倍に増加しています。

※1ドル147.74円(9月19日2時時点)の場合、以下同様

そこで気になるのが税金事情。プロスポーツ選手は個人事業主にあたるため、日本では所得税および住民税、さらに年間1000万円超の場合は2年目から消費税も課税されます。

ただし、課税対象となるのは居住者——日本国内に住所がある人、あるいは現在まで引き続き1年以上の居所を有する人——のみ。八村塁選手のように海外に住所を移してプレーする日本人選手は「非居住者」となり、日本国内で獲得した所得を除くと、基本的に現地(所属チームの本拠地など)の法律に従って海外で税金を納めます。

本記事では、次のように仮定して八村塁選手の税金額を算出します。

  • ロサンゼルス・レイカーズの本拠地であるカリフォルニア州に在住
  • 年俸=事業利益=課税所得
  • 独身である
  • 日本国内での所得はなし
  • 控除項目はなし

八村塁選手の税金の増加額は?

アメリカでは通常、滞在期間が183日を超えると外国人であっても所得税が課税されます。また、カリフォルニア州に住んでいる人には州税が課税される仕組みです。

八村塁選手の場合、米国所得税は最高税率の37%、カリフォルニア州税は最高税率の12.3%が適用され、計算式はそれぞれ以下のとおりです。

■今年の税金:年俸1700万ドルで計算

  • 米国所得税:174,238.25ドル+37%×(1,700万ドル-578,125ドル)=6,250,332ドル≒約625万ドル
  • カリフォルニア州税:65,835.52ドル+12.3%×(1,700万ドル-677,275ドル)≒2,073,531ドル≒約207万ドル

上記を合わせると約832万ドル(約12億2900万円)となります。

■前年の税金:年俸626万ドルで計算

  • 米国所得税:174,238.25ドル+37%×(626万ドル-578,125ドル)=2,276,532ドル≒約228万ドル
  • カリフォルニア州税:65,835.52ドル+12.3%×(626万ドル-677,275ドル)≒752,510ドル≒約75万ドル

上記を合わせると約303万ドル(約4億4700万円)となります。

以上より、年俸が626万ドルから1700万ドルに増加した場合、米国所得税とカリフォルニア州税を合算した税額は約529万ドル(約7億8200万円)増加すると考えられます。

もし日本在住の場合、税金はどうなる?

では、仮に日本で同じ金額の年俸を得ていると仮定した場合、所得税と住民税の合計額はいくらになるでしょうか。

八村塁選手の年俸1700万ドル≒約25億1200万円だと、住民税は最高税率の45%が適用され、住民税は10%を乗じた税額に均等割5,000円が加算された金額となります。

税額控除等を省くと、計算式は以下のとおりです。

  • 所得税:25億1200万円×45%-4,796,000円≒約11億2600万円
  • 住民税:25億1200万円×10%+5,000円≒約2億5100万円

所得税と住民税を合わせると、約13億7700万円となります。

つまり、国税(所得税)と地方税(住民税・州税)を合計した税額は、日本のほうがアメリカ(カリフォルニア州)よりも約1億4800万円高くなると言えます。

NBAやMLB、サッカー海外リーグなど、世界中で日本人アスリートが目覚ましい活躍を遂げている昨今。今回ご紹介したとおり、活躍している選手の年俸とそれに伴う税金額は驚くべき金額です。“プロスポーツとお金”の話題からは今後も目が離せませんね。

2020年の某メディアのインタビューでは「税金やファイナンシャルについて学びたい」と意欲を見せていた八村塁選手。今回の再契約を機に、より一層お金にまつわる見識を深められるのではないでしょうか。

参考:

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