大谷翔平がドジャースにもたらした「勝利」と「富」を深掘り! WS優勝における“オオタニ効果”とは?
今年のワールドシリーズで栄光の勝利を掴んだロサンゼルス・ドジャース。この結果には単なるスポーツの勝利以上の影響があり、球団にとって多大な経済効果をもたらすものとなりました。
注目すべきは、やはりスーパースター・大谷翔平選手の存在でしょう。彼はまたしてもチームの成績向上だけでなく、収益面での飛躍にも貢献しています。
本記事では、ドジャースがワールドシリーズ優勝や大谷選手の加入によって獲得した利益と、大谷選手がそのプロセスにどのように貢献しているのかを深掘り。彼の影響力を「お金」という観点から紐解いていきます。
ワールドシリーズの優勝ボーナスとは
10月30日(日本時間31日)に行われたワールドシリーズ第5戦で、ニューヨーク・ヤンキースに逆転勝ちを決めたロサンゼルス・ドジャース。2020年以来4年ぶり8度目の優勝となりました。
この歴史的な瞬間において、大谷翔平投手は「1番・指名打者」で先発出場し、4打数無安打に終わったものの、移籍1年目で初の栄冠をつかみました。26日(日本時間27日)の第2戦で左肩を亜脱臼した大谷選手は、28日(日本時間29日)の第3戦から強行出場を続行。打撃への影響は大きく、今回のワールドシリーズは5試合で19打数2安打の打率.105、打点なしに終わりましたが、優勝に向けて尽力したと同時に大きな経済効果をもたらしました。
今回のワールドシリーズは43年ぶりに人気球団同士の試合が実現したうえ、ドジャースに大谷選手、ヤンキースにはアーロン・ジャッジ選手という“東西の横綱”が現れたことで観客動員数は昨年を上回りました。チケット価格は平均1300ドル(約19万円)と高騰し、最安値でも1133ドル(約17万円)、最高額は第5戦の1583ドル(約24万円)という驚きの数字が発表されています。
ワールドシリーズで各球団に支払われる賞金(分配金)は、上記のようなチケット収入等の収益に基づき、ポストシーズンに出場した全12チームを対象として分配される仕組みです。その金額は毎年異なり、勝ち進むほど賞金は多くなります。
参考として、2023年は1億780万ドル(約163億円)がポストシーズンに進出したチームに分配され、優勝したテキサス・レンジャーズの選手には1人あたり50万6263ドル(約7690万円)が分配されました。2022年までさかのぼると、優勝したヒューストン・アストロズの選手には1人あたり51万6347ドル(約7843万円)が分配されています。
今回の賞金はまだ発表されていませんが、入場者数が昨年より増えていることから、ドジャースの選手には1人につき55万ドル(約8400万円)以上が支給されるのでは?と推測されています。これは、後払い契約を結んでいる大谷選手の今季の年俸200万ドル(約3億円)の4分の1以上にあたる非常に大きな“特別ボーナス”と言えるでしょう。
大谷選手による経済効果はなんと1168億円超
大谷選手はこれまでのワールドシリーズで経験したことのないほど多くの報道陣や視聴者を集め、日本だけでなく世界中の野球ファンを引き寄せました。これは、ドジャースはもちろん、野球の国際化を目論むMLBにとって大きな恩恵です。
関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、大谷選手の2024年の経済効果は、ワールドシリーズ進出を加味すると1168億円にも上るのだとか。この驚くべき金額には、
- 球場の観客増加による消費額(チケット代や食事代):約41億円
- 放映権収入:約112億円
- グッズの売上高:約20億円
- 大谷選手の関連グッズのネット販売金額(ボールなど):約10億円
- 大谷選手応援観戦ツアーの売上高:約70億円
- コマーシャル契約をしている日本企業の売上増加額:約20億円
などの直接的な経済効果と、グッズ原材料の売上増加や関連企業の従業員所得の増加による消費の拡大といったその他の波及効果が含まれています。
昨年12月に報じられた、大谷選手とドジャースの契約金額は10年で総額7億ドル(約1015億円/当時のレートで換算)でしたね。彼は世間を騒がせたこの巨額の契約を超える脅威的な価値をさっそく発揮しています。ドジャースは十分に「元が取れた」と言えるのではないでしょうか。
日本での凱旋イベントも計画中か
ドジャースのワールドシリーズ優勝は、球団と選手に多くのメリットをもたらしました。まずは、先に述べた優勝賞金。球団全体で分配されるため、選手はもちろんスタッフにも報酬が渡ります。
また、優勝によって球団や各選手の評価が上がるため、チケットやスポンサーシップ、グッズ販売などの収益のさらなる増加も期待できます。
ちなみにワールドシリーズ優勝を差し引いたとしても、ドジャースの収益は増加しています。
今季のドジャースの平均観客動員数は、昨季比2.7%増の4万8657人。しかしそれ以上に、大谷選手加入の効果はスポンサー収入に表れました。
大谷選手の加入後は興和、木下グループ、ヤクルト、THKといった企業が新たにパートナーシップを結び、本拠地ドジャースタジアムの広告スペースに日本ブランドが多数登場。大谷選手がCMに出演した企業の売上が伸びるなど、その効果は抜群です。スポンサー収入は前年より約7500万ドル(約113億円)増加しています。
その他、大谷選手は「5月17日」を「大谷翔平の日」と制定しているロサンゼルス市議会から、名誉市民に選出される可能性が高まっています。
さらに、来年3月18日〜19日に東京ドームで行われるシカゴ・カブスとの開幕シリーズに先立ち、銀座でお披露目を兼ねた凱旋パレードが実施される案も浮上しています。優勝を祝う大規模なイベントとして、大谷選手や真美子夫人、愛犬デコピンの姿を目にする機会が用意されるかもしれません。
このように大谷翔平選手のドジャース1年目は、チームへのメリットだけでなくスポーツの枠を超えた社会現象を生み出し、経済効果と文化的影響を同時に発揮しました。彼がもたらす利益と感動は、今後もさらなる広がりを見せることでしょう。