【個人投資家 八木エミリー】新時代のマネーリテラシー「不動産投資論 リスクとの付き合い方 #07」
コロナショック、老後の年金問題。激変する社会において、自分らしい人生を手に入れていくために、いまや誰もが身に付けなければいけないお金の知識。 72channel.では、不動産投資をはじめる前に学んでおきたいお金のことをテーマに、分かりやすく、 丁寧にお金のことを一緒に考え、楽しくそして確実に学んでいく、オリジナルシリーズで展開。 第7回「不動産投資論 リスクとの付き合い方」として、不動産投資をおこなっていくうえで、想定されるリスクとその対策について、わかりやすく解説。
八木エミリーさんが語るマネーリテラシー。第7回は、「不動産投資論 リスクとの付き合い方」について解説。不動産投資の特有のリスクと、その種類、対策について詳しくみていきます。
目指すのは、入居者が絶えることのない環境。
投資と名前がつくものは、大なり小なりリスクがつきものと八木さんは言います。 不動産投資も例外ではありません。不動産投資が抱えるリスクは、大きく分けると3つあります。
1つ目が、空室リスク。
「所有している不動産に住んでいる人が退去した場合、収入はもちろんゼロ。そのため、住人の方が引っ越ししても、すぐに次の方が入居してもらえるようにする必要があります。駅近の物件であったり、人気の街にあるなど立地が良い場所にあれば、入居が途絶える可能性は低くなります。また、その物件そのものが魅力的であったり、宅配ボックスが設置、敷地内に自販機があるなど設備が充実している物件であれば、同じように空室リスクは抑えることが可能です。」
さらに、実際に入居する方と対面する管理会社さんとのコミュニケーションをとっておくことも、リスク管理の一つと、八木さんは語ります。
空室が続いてしまうと、家賃収入が入ってこなくなり、銀行への返済の出費だけが続くことになりかねません。それを防ぐためには、魅力的な立地かどうか、物件そのものの設備はどうかなどの視点から、購入する不動産を選ぶ必要がありますね。入居者が途絶えないような魅力的な物件とは何かを、自分なりに考えておくことがリスクを抑える近道かもしれません。
返済リスクを下げるには、シュミレーションが重要。
2つ目が返済リスク。
「不動産投資をおこなっていくなかでよくあるのが、『銀行への返済が苦しい』というものです。それを防ぐためには、家賃収入から得ることができる利回りが、銀行へ返済する金利を差を可能な限り上回ること。融資に対する金利を下げる交渉は難しいので、利回りの大きい不動産を選んでいくことで対策が可能です。」
さらに、長期的な視点で購入する不動産を選ぶことが必要と語ります。
「一般的に家賃は年々下落していく可能性が高いです。そのため、10年後の家賃はいくらになっているか、所有している物件の築20〜30年の物件の相場の価格は、どれくらいなのか、確認して、綿密なシミュレーションをしていくべきです。」
不動産投資を始めようと考えている方が、最も気になっている部分なのではないでしょうか。購入前に融資の金利や、不動産の利回りは確認することができるため、10年、20年後の計画を立てることは可能でしょう。また、購入を検討している物件があるエリアの家賃相場や、今後進められる土地開発の情報収集をすることで、リスクの対策ができるということですね。
さらに不動産の価格変動についても、頭に入れておいてほしいと、八木さんは続けます。
時代の流れを把握することが、価格変動への対策。
「不動産投資は、長期的なスパンで収益を得ていくような仕組み。年月が経つにつれ、景気の動向や政治によって変化していくものがあり、不動産の価格変動が起こりうることも十分考えられます。そのなかで、今の情勢だといくらで売ることができるかというようなことも考えておく必要があります。『経済的に苦しから、売却しよう』とならないように、資産運用のポートフォリオを定期的に見直していくことをおすすめします。」
長期的に運用するためには、常に景気や政治、法律の変化にもアンテナを張っていく必要があるようです。これはリスクを減らしていくことと同時に、投資のチャンスを敏感に察知していくことにも繋がっていきます。時代の波を読むことで、上手に運用を進めていきたいですね。
リスクとメリットを冷静に見極める。
そして最後が災害リスク。
「私たちではどうしても防げない火事や地震、大雨などの災害。このような災害リスクに対しては、火災保険や地震保険などの保険をかけておくことで対応することができます。その他にも経年劣化で、修繕が必要になってくればその費用も必要になってきます。」
最後に、リスクとの付き合い方について八木さんが語ります。
「不動産投資には、さまざまなリスクが存在します。しかし、そのリスクと投資をおこなって 得られるメリットを天秤にかけることが大切。さらにこのようなリスクは事前に対策が取れるものがほとんどです。事前に準備、計画を立てて、投資を楽しみながら続けてほしいですね。」
不動産投資に関して興味はあるが、なかなか始められないという方の、最大の懸念点は、やはりこのリスクなのではないでしょうか。たしかに解説したような、さまざまなリスクがあり、それはゼロになることはありません。しかし、それは他の投資でも同じこと。不動産投資は、気をつけておくべきリスクが見えやすいので、対策も取りやすいということがわかりました。事前の入念な確認、準備がリスクをできる限り抑える投資の、最も大切な条件なのかもしれません。
八木エミリー・プロフィール
愛知県出身。日本女子大学理学部卒業後、2013年に野村證券株式会社に入社。顧客開拓に務め、初年度で東海地方1位の営業成績を獲得。新入社員でありながら、顧客向けセミナー講師として全社史上初の大抜擢。
2013年より株式投資を始め、2015年、26歳で不動産賃貸業に初挑戦。 以降、順調に業績を伸ばす。2017年より独立系ファイナンシャルプランナーとして活動を開始。 主に富裕層向けに資産活用のアドバイスを行うほか、ソフトバンク、オープンハウス、ロームなど 一部上場企業の社員向けセミナー講師としても活躍。
また、オンラインサロン「em会」を主宰し、金融知識の啓蒙に務めている。 すべての人が金融の知識を活用することで経済的に独立し、よりよい社会が実現することを目標に、活動ジャンルを広げている。