日経平均5万円突破でも投資すべき理由|高値掴みを恐れない資産形成戦略
【この記事の要点】
日経平均株価が史上初の5万円台を突破しました。「今は高値だから投資すべきではない」と感じる方も多い一方で、世界経済の成長、インフレの継続、日本企業の国際競争力を踏まえると、長期目線では今から投資を始める合理性は十分にあると考えられます。
本記事では、
・日経平均5万円時代でも投資してよい理由
・暴落が起きても資産形成を続ける考え方
・株式と不動産を組み合わせた分散戦略
を解説し、「高値圏でも動ける投資判断軸」を整理します。
■日経平均株価が5万円の大台を突破
日経平均株価は、日本経済新聞社が選んだ主要225銘柄の株価をもとに算出される株価指数。ニュースなどでも日々その動向が報じられています。
日経平均株価は1989年末に3万9815円の高値をつけたあと、長らくこの高値を更新できずにいました。しかし2024年2月に高値を更新。以後も日経平均株価の右肩上がりの傾向は続き、2025年10月には史上初の5万円を突破しました。
<日経平均株価(1980年1月〜2025年11月・月足)と主なイベント>

バブル崩壊後、さまざまな政治・経済・国際関係の変化、災害や事件の発生に株価が翻弄されてきました。
2025年1月から本稿執筆時点(2025年12月2日)までの日経平均株価の推移も見てみましょう。
<日経平均株価(2025年1月〜12月2日・日足)>

2025年4月の「トランプショック」は米トランプ大統領が世界の貿易相手国に対して関税を導入することを発表したことで発生しました。日経平均株価は大きく下落し、4月7日の終値では3万1136円をつけています。しかし、トランプショックの影響は長くは続きませんでした。5月にはトランプショック前の水準を回復。以後も値上がりが続いています。
10月には日本初の女性総理大臣、高市早苗首相が誕生し「高市トレード」と呼ばれる株高の展開に。日経平均株価は初の5万円台を突破しました。
本稿執筆時点で、終値ベースの最高値は11月4日につけた5万2411円ですので、日経平均株価は約7か月間で2万1275円も上昇しています。その後少し値下がりしていますが、それでも5万円近辺をキープしている状況です。
日経平均株価に限らず、TOPIX(東証株価指数)、米国のNYダウ平均株価やS&P500といった株価指数も同様に史上最高値を更新しています。
■日経平均5万円突破でもこれから投資していい!
日経平均株価をはじめとする株価指数が高値圏で推移するなかで投資を始めると「高値つかみ」「天井つかみ」になってしまうと思う方もいるかもしれません。
高値つかみ・天井つかみとは、株などの金融商品の価格が高い(一番高い)ときに買ってしまうことです。その後すぐに値下がりしてしまえば、損失を被ってしまいかねません。
しかし、日経平均5万円はまだまだ道半ば。筆者はこれからもどんどん上昇していくだろうと考えています。その理由はいくつかあります。
●世界人口増大→経済拡大→企業業績拡大→株価上昇の流れは今後も続く
2025年の世界人口は82億人。国連「世界人口推計」によると、2058年には100億人を突破、2080年代半ばに人口が103億人に達して、ピークをつけると推計されています。人口が増えれば、消費が増え、その消費を支えるために生産も増え、経済は拡大していきます。経済が拡大すれば企業の業績も拡大し、株価が上昇していきます。経済活動がある限り「世界人口増大→経済拡大→企業業績拡大→株式市場全体の株価上昇」の流れは続くでしょう。
国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し」(2025年10月)でも、2025年の経済成長率が3.2%、2026年の経済成長率が3.1%と予測されています。経済成長率は1980年以降、おおむね年3〜4%で推移しています。
●インフレが続き、株価が上昇する
日本だけでなく、世界中でインフレが続いています。インフレになれば企業の利益が大きくなり、業績が上がれば株価も上がりやすいからです。インフレが生じる理由にはさまざまあり、簡単に解決できるものではありません。
ありとあらゆる原材料の価格が値上がりしています。原油価格の上昇は、電気やガス、紙製品などの値上がりに直結します。最近の技術革新で注目されているのはAI(生成AI)でしょう。AIの性能を向上させるには、半導体の性能がとても重要な役割を果たします。AIが今後も普及すれば、電力需要はますます高まるでしょう。そうなると、電気代の高騰も懸念されます。
インフレ時代には、モノの価格が上昇しお金の価値が下がります。今後もインフレ傾向が続けば、株価上昇も続くことが予想されます。
●日本の上場企業の取引相手の多くは世界市場
人口が減り、少子高齢化が進行するなかでは、日本経済が勢いよく成長していくのは難しいと思われるかもしれません。日経平均株価は5万円に届くのが精一杯という人もいることでしょう。
日本の上場企業が日本国内だけ、日本人だけを相手にしてビジネスを展開していればご指摘の通りですが、日本の上場企業の多くは日本国内だけを相手にして商売をしていません。商売の相手は世界です。上述の通り、今後も世界経済が拡大し、世界的にインフレ傾向が続いていくならば、将来的に「日経平均10万円台」に到達しても、まったく不思議ではありません。
■暴落があっても投資していたほうがいい
「市場の暴落が怖い」と思われる方もいるかもしれません。確かに市場はときに暴落します。いつ、どんな暴落が起こるかは誰にも予測できません。
暴落の原因として挙げられるものには、大きく分けて「バブル」「景気後退」「為替」「政策金利」「政治・選挙」「戦争・テロ」「天災」の7つがあります。どれか1つが原因となることもあれば、複数の原因がからむこともあります。
<過去の主な株価暴落とその原因>

暴落が起これば、自分の資産も減ってしまうため、売却したくなってしまう人も多いかもしれません。しかし、暴落に慌てて売却してしまうと、その時点で利益(または損失)が確定してしまい、その後の資産回復・上昇の恩恵を一切受けられなくなるからです。
先に示した日経平均株価のグラフを見ても、ときどき暴落が発生していることがわかりますが、暴落してそのまま市場がなくなってしまったことはありません。
いずれ元の水準を回復し、暴落前より値上がりしています。「今後も必ず回復する」という保証はできませんが、過去に照らせば、暴落があっても投資を続けることで資産を増やす期待ができます。
■将来時点の価格を「参照基準点」に設定して投資を行う
日経平均株価の今の水準を高いと考えてしまう方は、行動経済学の「参照基準点効果」の罠にかかってしまっているかもしれません。
参照基準点効果とは、心の中に基準点を設けて考えてしまうことです。
値動きのある資産を売買するときに、特定の日の価格を基準にして「高い」「安い」と判断してしまうことがあります。「特定の日」とは、過去にその資産を購入したことがあれば、その日の価格が基準になりますし、人によっては5年前、10年前ということもあるでしょう。
同じ株価5000円の銘柄でも、4000円のときに買った人にとっては値上がりしたので「高い」と感じるのに対し、6000円のときに買った人にとっては値下がりしたので「安い」と感じるという具合です。
日経平均株価も同様です。日経平均株価は、過去には1万円を下回っている時期もあります。そこから見れば、史上最高値の5万円はかなり高く感じられるでしょう。しかし、史上最高値はどの時点から見ても高く感じるものです。日経平均株価5万円が高いと考える人は、今後、6万円、7万円…と上昇していっても投資をすることはできないでしょう。そうなるといつまで経っても株価上昇の恩恵を受けられなくなります。
プロでも予想が難しい相場において、短期的な目線で高いか低いかを考える必要は一切なく、そうした感情を排して市場に参加することが、投資成功の秘訣です。
今後も株価が上昇する可能性が高いのであれば、将来時点の株価水準を「参照基準点」に設定し、いますぐ投資を始めた方がいいでしょう。
■暴落に備えるならば不動産投資も取り入れる
暴落に備えるならば、株などの資産に加えて不動産を保有するのも一案です。
不動産は株式市場の暴落にも強い資産です。仮に暴落したとして、入居者がみんな引っ越してしまうわけではありません。不動産を保有していることで、暴落時にも安定的に家賃収入を得ることができます。
不動産投資は「他人のお金」で投資ができるのが大きなメリットです。不動産投資では通常、ローンを組んで物件を購入します。ローンは銀行のお金ですから「他人のお金」です。そして得られた家賃収入でローンを返済します。家賃を支払うのは入居者ですからこちらも「他人のお金」です。不動産投資をスタートすれば以後の手出しが少ないため、株を中心とする資産形成と並行して進めやすいのもメリットです。
不動産投資をすることで、ローンの返済中に得られる収入はあまり多くありません。しかしローンの返済後は、家賃収入をそのまま収入にできるのが大きなメリット。老後も不動産を保有していれば、年金+家賃収入を得続けることができます。
日経平均株価が5万円を突破した今、「7000円の時代もあった」というと隔世の感があります。しかし、日経平均株価が高値圏だからといって投資しないでいると、株価上昇の恩恵を受けることができないのもまた事実です。
投資は、高い・安いといった値頃感で行うものではなく、将来成長した株価水準を見据えてじっくりと取り組むもの。そして長く続けることが大切です。
まだ始めていないという方は、将来時点の価格を「参照基準点」に設定して早く投資を始めることをおすすめします。
頼藤 太希(よりふじ・たいき)
経済評論家・マネーコンサルタント
Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。
日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊超、累計190万部。
日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。
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