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空き家の増加と不動産の資産価値【プロが教える不動産投資コラム】

今、日本には「空き家住宅」が増加しています。こうした空き家問題を解消するために法律の改正も行われています。空き家が発生する要因なども不動産投資の参考になると考えられます。

こうした空き家問題の現状と要因、不動産の資産価値などについて検証してみたいと思います。

増加する空き家住宅

皆さんの住まいの周りでも空き家住宅はありませんか。昔は空き家などがあってもすぐに取り壊されて新しい家が建ったりしたものですが、今は空き家のまま放置されている家も多く見かけるようになってきています。

国土交通省の「住宅・土地統計調査」によると、2018年における日本の住宅戸数は6,242万戸ですが、そのうち空き家は846万戸で全体の13.6%にもなり、2013年と比べて26万戸の増加となっています。つまり日本の住宅10戸に1戸は空き家という事になります。

空き家戸数は増加傾向にあり昭和63年から2018年の間の30年間にかけて、なんと452万戸も増加しています。

放置旅館の取り壊しに多くの解体費用が

空き家問題と共に、廃墟となった旅館なども問題となっています。和歌山県では長い間営業をしていない持ち主不明の旅館が老朽化で倒壊の危険があるという事で、略式代執行により解体に着手されました。解体費用は7,000万円もかかりますが、これは市と国、和歌山県が負担するそうです。

観光地の中心にこうした廃墟となった建物があれば、周辺のイメージも損なわれますし、建物の倒壊などの危険もあります。こうした大型の建物は、持ち主が不明な場合や解体費用が高額な事から解体も難しく放置されているケースもあり問題となっています。

また、住宅も空き家となり放置されると劣化が進み、廃墟のようになってしまえば、景観も悪くなり、虫や悪臭の発生や、また動物や関係ない人が入り込んだりと治安上も周辺に影響を与える事にもなりかねません。

京都市では空き家となっている住宅や別荘などの所有者に新税が導入される予定です。自治体の独自の課税であり、住宅の流通促進を狙っています。

固定資産性と解体費用の上昇

空き家となってそのまま放置されると劣化して倒壊などの危険もあるので、すぐに解体した方がよいと思いがちですが、実は住宅は固定資産税の恩恵があり建物が建っていると更地に比べて6分の1に軽減されます。

このため人が住まなくなっても空き家のまま建物を残しておくケースが多くなっています。

さらに建物を解体する場合にも解体費用が上昇しており、こうした解体費用を捻出するのも難しいために空き家となっている場合もあります。

改正空き家対策特措法成立が成立

こうした空き家問題が増加している事から、今国会において「改正空き家対策特措法成立」が成立しました。これは空き家でも廃墟になる前の管理の悪い物件を「管理不全空き家」として、市区町村が指導、勧告できるようになり、勧告を受けた物件は固定資産税の優遇措置の対象外となります。

今後は空き家として放置されている住宅は固定資産税の優遇措置を受けられなくなる可能性もある訳です。

つまり空き家を持っている事は、コストがかさみ不動産ではなく「負動産」となってしまう可能性もあります。

空き家が発生する理由は

空き家が発生する、つまり住んでいた家が空き家となってしまう理由は何でしょうか。これは立地的な要因もあります。高度経済成長期の人口が大きく増加、「日本列島改造論」などという言葉が取りざたされたように、日本中で開発が進みました。

そして住宅も都心から郊外へ広がっていき、多くの郊外の住宅地やニュータウンなどが建設されました。住宅地は都心からどんどん離れて行き、郊外の多くエリアの開発が進みました。

しかし、こうした都心から遠く駅から遠い住宅地はやがて、高齢化や人口減などで若い世代は都心に近いエリアに居住するようになってきています。こうした家を親から相続しても、利便性が低く、しかも売りづらいので空き家のまま放置される事になります。

人口の増加しているエリアは住宅需要も増加

日本の人口は全体では減少傾向にあります。人口や世帯数が減少すればそれだけ住宅の需要も減少しますので、空き家も発生しやすくなります。但し全てのエリアに渡って人口が減少している訳ではなく、人口が増加しているエリアと減少しているエリアに分かれます。

人口が増加しているのは東京都を始め大都市など、また地方でも中心的なエリアでは人口が増加傾向にあります。こうした都心部では再開発なども進み企業も多く集積しているので就業人口も多く、さらに将来的にも発展が期待され周辺の住宅需要も増加します。

こうしたエリアでも空き家も比較的少ないと言えます。つまり立地や将来性などが不動産の資産価値にも大きな影響を与える訳です。

また、郊外などのエリアでも新規に大型商業施設が開業すると地価上昇など街が発展する場合もあります。つまり「空き家」の発生しづらいエリアは不動産投資の立地としても適しているという事も言えます。

単身世帯の増加による単身世帯住宅の需要増

高度経済成長期には、核家族と言われる家族4人などが住む広さを持っている住宅が多く建設されました。当時はマンションなどの共同住宅でも3LDKなどのサイズが多かったようです。

しかし現在は「単身世帯」の割合が多くなっており、ワンルームマンションなどの単身世帯用の住宅の需要も高くなっています。つなりこうした住宅のストックと現在必要とされている住宅需要のミスマッチも空き家が増える要因とも考えられます。

今後は住宅の「クオリティ」が重要な要素に

不動産投資をする上で極めて大切な事は、長期に渡って安定的に高い入居率が維持できる場所・建物を購入する事です。例えば利回りだけを重視してその結果、駅から遠い立地、古い建物を購入した場合、当初は利回りが高いとしても、最寄りの駅の乗降客数が減少しエリア全体の人口も減少し、他のエリアにも高いスピードで高齢化が進むエリアにおいては、当然の事ながら入居率が下がる訳です。

入居率が下がるという事はその先に起きる事として募集賃料の低下、さらに日常管理はもとより修繕コスト、さらに大規模修繕コストの負担感も増していく訳です。

長期に渡って良好な不動産投資を続けるためには常に一定のメンテナンスが求められます。そのような住宅は空き家になる確率は極めて低く、実際に東京都内を見ても立地の良い堅固な構造、優れた管理、現在に相応しいスペック・通信機能などを有する建物は空き家にはなりづらい多くの魅力がある訳です。

現在の日本では冒頭に述べた通り、多くの空き家が存在しますが、実際日本の住宅業界で不足している建物のキーワードはズバリ「クオリティ」です。立地も含め建物・管理それぞれがクオリティの高い物を選択し、不動産投資における「クオリティ」を追求するという投資スタンスがこれからの時代ますます重要視されると考えます。

今後の不動産投資において参考にして頂ければ幸いです。

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