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経済対策と不動産投資への関連性【プロが教える不動産投資コラム】

今、日本経済が大きく動いています。インフレ、円安や金利動向、地価、不動産価格の上昇や今後の年金問題など様々な動きがあります。

さらに総合経済対策の発表がありました。今回のコラムでは経済対策が不動産投資に与える影響と今後の日本経済について考えてみたいと思います。

総合経済対策が発表される

岸田内閣では「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が11月2日に閣議決定されました。「コストカット型経済」から「成長型経済」への転換を目指し、持続的な賃上げや投資の実現を目指します。

5本の柱から構成されており、それぞれの内容と不動産投資に与える影響などを見てみましょう。

(1)物価高から国民生活を守る

デフレからの脱却を目指していますが、現在物価自体は上昇が続いているので家計への負担は大きくなっています。

今回の経済対策では1人につき4万円の現在などの定額減税やエネルギー費の補助の継続などが予定されています。消費者物価1.0%程度の抑制効果と試算されています。

物価上昇に対する補助や家計の支援による消費の増加も期待されます。

しかし、現在のコストアップ型のインフレでは輸入品やエネルギー価格などの上昇の影響は続きますので、今後は経済成長に伴うインフレへの移行、(2)の賃上げや(3)の経済の成長などが重要な要素となってきます。

安定的な経済成長が不動産市場の活性化にもつながってくると考えられます。

(2)地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する

日本では過去30年間に渡って給与の上昇が進んでいない状況が進んでいました。

今年の春には大手主導で賃金が大幅にアップした会社もありますが、まだ中小企業への浸透度には時間がかかると考えられ、岸田政権では地方・中堅・中小企業を含めたさらなる賃上げを目指しています。

2023年の9月の名目賃金は1.2%上昇しているものの、物価上昇分を合わせた実質賃金は2.4%のマイナスとなりました。物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていない状況です。

今後は2024年の春闘の動きがとりわけ注目されており、そこでさらなる賃金の上昇が確認されればより消費性向が高まり、それと共にインフレも顕在化し特に不動産などにおいては先々に買うよりも現在買った方が得だという意識が浸透する可能性もあるのではないでしょうか。

(3)成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進する

国内の企業における成長戦略についてはAI、宇宙・海洋開発、DXなどありますが、それらの政府による規制緩和や後押しにより業界の活性化がますます新しい分野での雇用が生まれ、景気拡大から住宅需要にもつながります。

さらに対日投資を促進し、海外からの優秀な企業や個人を招きいれてスタートアップ企業を後押しする政策もあるようです。

再開発によりこうした企業を誘致する動きもあり、雇用や住宅需要にも結びつく可能性があります。

(4)人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する

日本は全体では人口減の傾向が進んでいますが、こうした事態を乗り越える変革が求められています。

子育て支援を始めデジタルを利用した様々な改革や自動運転、DXによる人手不足の補完、女性・高齢者の活躍の推進や、人手不足に対応した規制緩和や外国人材の活用なども掲げられています。

人口減社会においても経済成長を持続する取り組みが進められます。今後も経済成長が続く事で不動産の資産価値も連動して上昇する可能性もあります。

(5)国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する

ここ何年かの間に世界的な気候変動が顕著になり、自然災害がますます猛威を振るっています。国内においても道路、港湾、橋などのインフラの劣化とともに自然災害のダメージも相まって修繕コストがますます跳ね上がってきます。

社会インフラの老朽化や震災・風水害対策や予防、デジタル化などを進める「国土強靱化5カ年加速化対策」の推進などを始め、防災・減災などの国民の安全・安心の確保が進められます。

高度経済成長期に建設された公共インフラは老朽化を迎えており、また建築費の上昇の中で公共事業のコストアップはそのまま民間建設会社における人手不足にも直結しマンション業界における建築現場の人手不足、コストアップにもつながる可能性があります。

今後のGDPへの影響は

内閣府発表した2023年7~9月期の実質GDP(国内総生産)は3四半期ぶりのマイナスとなりました。物価上昇の影響もあり消費や設備投資が停滞しており内需に勢いが弱くなっています。特に消費では物価上昇による生活防衛の意識も高まっています。

今後は経済対策による効果では実質GDPを19兆円程度、年成長率換算1.2%程度押し上げると試算されています。今後の経済対策の効果も期待されます。

日本財政の行方と私達の暮らし

経済対策は関係経費として2023年度の一般会計補正予算で13.1兆円が計上されましたが、このうち8.9兆円が国債で賄われます。さらに2024年6月からの定額減税分は含まれていませんので、それを合わせると17兆円台となる見通しです。国債の発行額も増加し日本の借金も増えていきます。

私達の国民負担率は年々増加しており、社会負担や税の増加、そして将来の年金の不足など様々な影響を及ぼしています。リタイヤ後も65歳以上の介護保険料を引き上げる検討もされています。

将来の年金への影響は

今後はインバウンドも増加傾向にあり景気も上昇していく事も予想されますが、高齢化と財政の悪化による年金財政も厳しいものになってきています。

年金額は年々上昇していますが物価上昇マクロ経済スライドが適用され、年金の増加額は物価上昇より低くなっています。これは将来の現役世代の負担を考慮したものです。

またマクロ経済スライドはキャリーオーバーが適用され、過去に物価が下落して年金を下げられなかった場合はその調整分を行いますので、物価が上昇しても年金の上昇率は低い場合もあります。

株価は上昇傾向に

2023年11月20日には日経平均株価は3万3853円まで上昇し1990年3月以来33年8カ月ぶりの高値となりました。

株価が最高値を記録したのは1989年の3万8915円ですが、その株価に迫る勢いです。米経済の好調な指標と、国内企業の4~9月期の決算の堅調さなどから株高につながっていると考えられます。

今後も日本経済が堅調に推移していく可能性もありますが、私達の将来への備えもまた重要となってきています。

景気上昇・インフレに備えた資産運用

景気は堅調さが続いているものの、物価上昇や国民の負担増なども増えてきています。今後は景気上昇に対応した資産運用が求められてきています。

不動産投資はインフレに強い投資と言われており、景気の上昇などの伴い資産価値も上昇する傾向にあります。今後の長期的な景気の展望や将来の「デフレ脱却」を見据えて、不動産投資への関心もますます高まる可能性があります。

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