どうなる?2024年の経済・不動産市場の展望〈その1 経済展望編〉【プロが教える不動産投資コラム】
今年は令和が始まって早くも6年目となります。令和になってから訪日外国人の増加や一転して新型コロナによる減少、また東京五輪の開催、インフレの兆候など様々な出来事がありました。
2024年はどういった年になるのかを、まずは経済の面から展望してみたいと思います。
発展が期待される2024年の日本経済
新型コロナの影響などで長かった経済の停滞は徐々に回復基調となり、株価や都心部の地価なども大きく上昇してきました。日経平均株価は2023年11月には3万3,800円台となりバブル崩壊後の最高値を更新しました。
日銀の発表した「資金循環統計」によると民間企業(金融機関除く)の保有金融資産残高が過去最高の1,449兆円となりました。企業収益は好調が続き余剰資金が拡大しています。
2024年は大企業のみならず中小企業の景況感もプラス要素が多く、それらの経済動向に今後の賃上げや設備投資への資金拡大が期待されます。
政府によるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は今年から運用に際して新興企業に門戸を開く動きがあります。今後日本国内には海外からのスタートアップ企業の進出やさらに日本国内への不動産投資をする企業も増えてくる可能性があります。
そしてGPIFが従来よりも国内不動産投資により興味関心を持つと予想されます。
◼︎民間非金融法人企業の金融資産の推移
2022年9月末 | 2023年9月末 | |
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残高 | 1,322兆円 | 1,449兆円 |
将来への備えがクローズアップされる年に ~投資拡充がスタート~
少子高齢化が進む中で、公的年金や年金財政の不安により自分の将来についての「自助努力」が必要な事がクローズアップされてきています。
岸田政権では「貯蓄から投資へ」のスローガンと共にNISAの拡充が2024年から始まります。2024年は多くの方が「投資」について目を向ける機会の多い年となるのではないでしょうか。
東京都でも高齢化が進みこの20年間に高齢者人口は210万人から311万人と約1.5倍に増加、2023年には高齢化率が23.5%にまで上昇しました。年金の増加率は「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みによって物価上昇分より少なくなっており、実質的には減少していると言えます。
このため2024年も年金は実質的に目減りすると見られています。
日銀の「資金循環統計」によると、家計の金融資産は2023年9月末時点で2,121兆円と過去最高となりました。この中で現金・預金は1,113兆円と52.5%を占めています。インフレや将来の年金不安などに加えて政府の後押しによりこうした資金が様々な「投資」に流入する可能性があります。
株式や投資信託などへの投資も増加しており、こうした中で将来のための堅実な資産運用法として「不動産投資」の関心が高まる事も予想されます。
◼︎東京都の高齢人口と高齢化率は20年間に大きく増加
2003年 | 2023年 | |
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高齢者人口 | 210万人 | 311万4千人 |
高齢化率 | 17.4% | 23.5% |
◼︎家計の金融資産の推移
2022年 9月末 | 2022年 12月末 | 2023年 3月末 | 2023年 6月末 | 2023年 9月末 | |
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残高 | 2,020兆円 | 2,037兆円 | 2,056兆円 | 2,115兆円 | 2,121兆円 |
インバウンドと経済の関係は
2024年は新型コロナが5類に移行してから始めての新年を迎えます。
インバウンド(訪日外国人)は2023年には回復基調となり、10月には新型コロナ前の2019年の同月を上回り、11月も2019年とほぼ同水準となりました。6ヵ月連続で200万人を超え、11 月までの累計は 2233万2,000 人と 2,000 万人を突破しました。円安もインバウンド増加の要因となっています。
但し新型コロナ前にトップだった中国からの訪問者は依然として少なく、今後中国からの訪問者が増加すれば、インバウンド全体がさらに大きく拡大する可能性があります。
新型コロナ発生前はインバウンドの増加の影響もあり、都市部の商業地や観光地などを中心に地価が大きく上昇してきました。現在も地価は上昇傾向にありますが、インバウンドは今後も増加の伸びしろがあり、インバウンドがコロナ以前の水準に回復すれば、デフレ脱却や地価も再び高い上昇率となる可能性もあります。
こうしたインバウンドの増加からホテルの開業も続きサービス業などもますます活況を呈するのではないでしょうか。
また、東京の新線・再開発計画も進み、こうしたポテンシャルの上昇と併せて今後の東京の経済や不動産市場の発展・地価の上昇などに結び付く可能性があります。
◼︎インバウンド(訪日外国人)の推移
2019年1~11月 | 2022年1~11月 | 2023年1~11月 | |
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訪日外客数 | 2,935万5,662人 | 246万1,996人 | 2,233万2,000人 |
2024年の賃金動向は
2024年は大企業のみならず中小企業の景況感もプラス要素が多く、それらの経済動向に伴い、賃金アップが期待される年でもあります。岸田総理は年末の経団連の会合でも賃金アップの協力要請を表明しています。
2023年は大企業を中心に賃金の上昇が見られましたが、これに引き続き2024年もこの傾向が続くと予想されます。但し現在の賃金動向を見ると大企業などを中心に上昇傾向にありますが、物価上昇幅に追い付いてなく実質賃金の減少が続いています。
連合の発表によると2023年春闘での平均賃上げ率は平均賃上げ率は3.58%で1993年の3.9%以来の高水準となりました。また中小でも平均賃上げ率は3.23%となりました。
円安によるコストプッシュ型のインフレが続いており、本格的な景気回復には賃金水準の上昇が大きなポイントとなっています。連合では2024年の春闘では前年の「5%程度」から拡大し「5%以上」の賃上げを要求する方針である事が報道されています。
賃上げによる給与水準向上の先には不動産投資購入層の拡大、さらに賃料アップも見込まれます。
東京の転入超過は続くのか
東京の人口は新型コロナによって周辺エリアへの流入が続いていましたが、2023年には東京都への転入超過人口が増加の傾向となっています。総務省「住民基本台帳人口移動報告」によると、東京都への転入超過人口は2022年以降2年連続して拡大しました。
2023年の転入人口を見て見ると最も多い3月と4月には48,130人の転入超過となりました。2年連続の増加となりました。新型コロナ発生前の2019年の52,629人に迫る勢いとなっています。
東京都では新型コロナによって「テレワーク」が普及しテレワークの実施率は緊急事態宣言の時には65%前後ありましたが、2022年からは低下傾向にあり2023年10月には44.1%に低下しています。
新型コロナが5類に移行し、再び都心のオフィス街への出勤が増加している傾向にあります。
但し都心部の地価・不動産価格は大きく上昇しており、今後は都心にアクセスしやすい立地の住宅の需要がますます増加すると考えられ、都心及びその周辺にも不動産の価格上昇が波及する可能性もあります。
◼︎東京都の転入超過人口の推移(3~4月)
2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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転入超過数 | 52,629人 | 44,731人 | 30,151人 | 37,545人 | 48,130人 |
2024年は新しい事を始めましょう!
1年の計は元旦にありと言われますが、読者の皆様も今年は「これをしよう」「あれをしよう」と考えていらっしゃると思います。例えば健康のためご自身のスキルアップのため、また資産運用など多種多様ではないでしょうか。
2024年は金融情勢・経済情勢を含め資産運用をスタートするにふさわしい年とも言えるかと考えます。将来の備えのための第一歩を踏み出す良い機会の年になって頂ければ幸いです。