どうなる? 2024年以降の東京と再開発【プロが教える不動産投資コラム】
不動産投資の立地を考える場合に、東京という都市は将来性が極めて高いと考えられます。
国際的に見ても生活や交通ネットワーク、文化的な側面はもとより多くの分野でポテンシャルが高く、森記記念財団都市戦略研究所の発表した「世界の都市総合力ランキング(2023年)」では東京が総合ランキングで3位となりました。
低金利や円安の影響もあり多くの投資資金が東京に流入しています。
東京五輪後に東京の不動産の資産価値が下がるとの噂もありましたが、現在は地価やマンションなど不動産価格も上昇傾向にあります。さらに今後も再開発が加速しており将来性も非常に高い事が特長です。
2024年以降に東京の主要部がどう変わっていくか検証してみましょう。
神宮外苑 ~東京の中心のイメージが大きく変わる~
(1)歴史のある神宮外苑
東京の真ん中とも言える「神宮外苑」では「歴史と文化の継承」をテーマに大規模な再開発が計画され、全体完成は2036年を予定しています。
「神宮外苑」は大正15年に完成しました。筆者が昔勤めていた会社も近くにあり、その歴史ある風情は印象深いものがあります。都心にありながら緑も多く夏には「森のビアガーデン」などに訪れた記憶があります。
(2)イメージが大きく変わる
現在ある「明治神宮野球場」「秩父宮ラグビー場」「伊藤忠本社」などを建替え、「ラグビー場棟」、「ホテル併設野球場棟」などが建設される予定です。
新施設により来場者が増加すれば周辺のサービス業人口の増加にも繋がります。また複合棟・事務所等などの高層ビルの建設も予定されておりオフィス就業人口の増加も見込まれます。
最寄り駅は「外苑前」「青山一丁目」「信濃町」などで、元赤坂の赤坂御所や迎賓館、東京五輪の開催された国立競技場などにも隣接しています。
こうした東京の中心エリアで大規模な再開発が行われれば、東京のイメージもさらに大きくアップすると考えられます。
新宿 ~利用者日本一のビッグターミナル駅周辺で開発が加速~
(1)西新宿グランドモールでますます街が活性化!
利用者が日本一または世界一とも言われる「新宿」駅は、その駅前などが大きく変わろうとしています。西新宿エリアは多くの高層ビルや都庁などのあるビジネス街ですが2023年に「西新宿地区再整備方針」が策定され新たなまちづくりの方向性が示されています。
新宿駅から新宿中央公園への4号道路を「西新宿グランドモール」として賑わいの創出など今後2040年代にかけて「新宿のまち全体の再整備」が進められています。
(2)建替えの進む百貨店
こうした中で新宿の顔とも言える京王・小田急百貨店の建替え計画が進んでいます。
「京王百貨店新宿店」のある「新宿駅西南口」エリアには、京王電鉄とJR東日本による高層ビルが2028年に開業予定です。また京王百貨店は建て替えて大型の商業施設となり2040年代の開業を予定しています。
「小田急百貨店新宿店本館」は2022年に営業を終了し、「新宿駅西口地区開発計画」として小田急電鉄と東京メトロ、東急不動産などにより2029年にオフィス・商業施設の入る超高層ビルが建設される予定です。
「新宿」駅周辺が活性化するとその影響は沿線上にも広がり、多くのエリアの住宅需要が増加する可能性があります。
建替え工事の進む小田急百貨店跡地(左)、新宿駅西南口工事エリアの新宿グランドターミナルの看板(右)
撮影:オフィス野中2024年1月
東京駅周辺・日本橋エリア ~巨大なビジネスゾーンが出現~
「東京」駅は東京の中心とも言えるエリアで多くの企業や金融機関が集中しています。
さらに五街道の基点ともなった「日本橋」、証券街である「茅場町(兜町)」など主要ビジネス街が集中するエリアです。「東京」駅前には西側に「丸ノ内」や「大手町」などのビジネス街があり、駅前には丸ビル、新丸ビル、JPタワーなどの高層ビルが建ち並んでいます。東側の「八重洲」エリアも今後も多くの再開発計画が進行しています。
(1)八重洲
八重洲では2023年に「東京ミッドタウン八重洲」が開業しました。2024年以降にも隣接した「八重洲二丁目中地区」「八重洲一丁目東地区」なども開発が進んでいます。さらに東京駅の北側(日本橋口)では、高さ日本一となる「東京トーチ」や「八重洲一丁目北地区」計画が進行しています。
(2)日本橋
日本橋では首都高速道路の地下化が計画され2040年度の完成を予定し、さらに日本橋川に沿って大規模な再開発が計画されています。
「東京トーチ」から日本橋川に沿って再開発計画が進んでおり「東京~日本橋~茅場町」が一体となる巨大なビジネス街が出現する可能性があります。さらに東京駅には羽田空港アクセスの開業も予定され発展が期待できるエリアです。今後は東京東側などの住宅需要の増加にも繋がると考えられます。
渋谷 ~100年に一度の再開発も大詰めに~
「渋谷」駅周辺は「100年に一度」と言われる程の大規模な再開発が進行しています。筆者もよく渋谷を訪れますが、渋谷駅構内を始め昔とは違う新しい街となってきている印象です。
「渋谷サクラステージ」が2024年7月に全体開業を予定しており、東急の進めてきた渋谷の再開発もいよいよ大詰めとなってきています。また今後は「渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期」や東急百貨店本店跡地の「Shibuya Upper West Project」などが2027年に完成予定です。
高輪ゲートウエイ・泉岳寺・品川 ~駅前大規模再開発とリニア中央新幹線~
「高輪ゲートウエイ」駅駅前には「グローバルゲートウェイ品川」として大規模な再開発が進行しており2024~2025年度中に開業予定と開業が近づいています。さらに「泉岳寺」駅周辺でも再開発計画が進んでいます。「品川」駅では「リニア中央新幹線」の開業も予定されており東京の「サウスゲート」としての発展が期待されます。
池袋 ~東京の北のゲートウエイ、今後は西口駅前が大きく変貌~
「池袋」駅周辺は2015年に都市再生緊急整備地域の指定を受け再開発が進行しています。「池袋駅周辺地域まちづくりガイドライン」に基づき2018年には「池袋駅周辺地域基盤整備方針」が策定されています。
東口側には「東池袋一丁目」再開発として高層ビルや駅からの「みどりのプロムナード」などが2027年までに建設される予定です。
また「池袋」駅の西口側駅前では東武鉄道と三菱地所による「池袋駅西口地区市街地再開発事業」により3棟の超高層ビルの建設が2043年度に完成予定です。駅前が大きく変わる再開発計画が今後約20年かけて進行する訳です。
池袋というとデパートなどの商業施設のイメージがありますが、渋谷や新宿に続き今後はビジネス街としてもますます発展する可能性があります。
六本木 ~森ビルを中心に大規模再開発が進行~
六本木ヒルズの東側エリアでは「第2六本木ヒルズ」とも呼ばれる大規模な「六本木五丁目西地区」再開発計画があり、2030年度の竣工を目指しています。
六本木周辺は大規模再開発が進んでいるエリアで「六本木ヒルズ」「東京ミッドタウン」を始め2023年に開業した「麻布台ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズ」なども近い立地です。
港区は外資系企業も多く立地します。六本木周辺は今後ビジネス街としてますます発展する事と予想されます。
以上主要なエリアを中心に見てきましたが、これ以外にも東京では多くの再開発が進行・予定されています。こうしたエリアにアクセスしやすい立地の住宅需要はますます増加すると考えられます。今後のマンション投資の参考にして頂ければ幸いです。