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再開発計画の進む築地・湾岸エリアと不動産投資【プロが教える不動産投資コラム】

東京の都心部や主要ターミナル駅周辺などで大規模な再開発が進んでいます。2024年4月には銀座にも近い東京の一等地である「築地」再開発の事業予定者などが決定しました。

今回のコラムでは築地の再開発及び移転先の豊洲や有明など湾岸エリアの再開発と発展、また不動産投資に与える影響などを検証してみたいと思います。

進む築地エリアの再開発

築地には東京を代表する市場である「築地市場」がありましたが、2018年には豊洲に移転しました。築地は銀座や東京駅にも近く、築地市場跡地の利用価値も高く今後の方向性が注目されていました。

東京都は築地市場跡地の再開発を進め、2019年3月には「築地まちづくり方針」を策定し、築地のまちづくりの将来性や方向性・進め方などを示しています。さらに2022年3月に事業実施方針を策定し、2024年4月に事業予定者の決定となりました。

5万人収容の多機能型スタジアムなどが予定されている

東京都は、築地跡地再開発の事業者に三井不動産を代表としたトヨタ不動産、読売新聞グループ本社など11社の企業連合を決定しました。

5万人を収容する多機能型スタジアムを中心にMICE(企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議 (Convention)、展示会・見本市、イベン(Exhibition/Event)の頭文字を使った造語)機能を持った施設などを整備する計画が発表されています。

また築地の食文化については、築地場外市場と連動して江戸前の食文化を発信するにぎわいの空間の整備などが検討されています。

築地の歴史

ここでは簡単に築地及び築地市場の歴史について振り返ってみましょう。

築地はもともと海で江戸時代に埋立てによりつくられた土地であり、武家地として発展してきました。

1923年(大正12年)の関東大震災では日本橋魚河岸が被災し、築地に移転してきました。築地市場としては1935年(昭和10年)に開場しました。戦後は「都民の台所」と言われ世界最大の水産物流通量を誇る市場としても発展しました。2000年には都営大江戸線が開通し賑わいも増してきました。

しかし築地市場は戦前からの施設であり、老朽化やスペースが狭小となってきた事などから移転問題が持ち上がり、2018年には江東区の豊洲に移転する事となりました。

築地場外とは

築地市場には公設の市場の他に、「築地場外」と呼ばれる一角があります。これは築地市場に隣接した商店街とも言える場所で、業者の方から一般の方も多く訪れるエリアです。

鮮魚や肉類、乾物などの食材から寿司や海鮮丼、喫茶などの飲食店も建ち並びます。

築地市場は移転しましたが、場外はそのまま残っており、昔の雰囲気の残る市場として観光客やインバウンドも多く訪れます。

また周辺には「築地本願寺」や「歌舞伎座」など江戸の文化や歴史の残るエリアでもあります。

銀座・新橋なども近く、今後は場外市場とともに築地エリアは新たな東京の名所として発展する可能性もあります。

築地再開発が周辺に与える影響は

銀座は日本で最も地価の高いエリアとして知られています。

その銀座から徒歩圏であり、多くのブランドショップや百貨店のあるエリア銀座、江戸の歴史も残る最新のエリアである築地とその相乗効果が見られる可能性もあります。

日本橋では首都高速道路の地下化などに伴い、「江戸」をコンセプトにした開発も進んでいます。

こうした東京の中心部の発展が続く事により就業人口が増加し、都心へアクセスしやすいエリアの住宅需要も上昇すると考えられます。

今後も発展が見込まれる豊洲市場

築地市場の移転先である「豊洲市場」は2018年に開業しました。さらに一般の観光客向けの施設である「千客万来施設」が2024年2月に開業しました。「東京豊洲 万葉俱楽部」「豊洲場外 江戸前市場」の2棟から構成されています。

すでにインバウンドを始め多くの来場者でにぎわっており、ニュースなどにもよく登場しています。

市場の方も一般の来場者の方の見学も可能となっており、周辺施設と併せて東京の新たな観光地となっています。

再開発の進む豊洲エリア

「豊洲」エリアには造船所や大規模な工場などが多くありましたが、再開発が進められてきました。

2006年には大規模商業施設である「アーバンドック ららぽーと豊洲」が開業し、ゆりかもめ線の「豊洲駅」も開業しました。周辺にはタワーマンションも多く建設され、「湾岸タワーマンション」のエリアとしても有名となりました。海に近い「豊洲ぐるり公園」ではバーベキューも楽しめます。

2020年にはオフィスビルである「豊洲ベイサイドクロスタワー」、「SMBC豊洲ビル」が開業しました。今後は2棟のビルが建設される「(仮称)豊洲4-2街区開発計画」が2025年に竣工予定です。楽しめる街であると共にオフィス街としても発展が期待される街です。

新線・延伸計画が予定されている豊洲・新木場

「豊洲」駅へは東京メトロ有楽町線が運行していますが、「豊洲」駅から東西線「東陽町」駅を通り都営新宿線「住吉」駅までの延伸が計画されています。

また「新木場」へは、現在「大井町」から「新木場」まで運行している「りんかい線」を通じて「羽田空港アクセス線」の開業も予定されており、湾岸エリアの羽田空港へのアクセスも向上する可能性があります。

「東京BRT(バス高速輸送システム)」も湾岸エリアを運行していますが、「新橋~晴海フラッグ~豊洲~有明」を結ぶルートも運行を開始し、利便性も高くなってきています。

有明では大型商業施設やクルーズターミナルも開業

有明は「東京国際展示場」などの大型展示場施設などで有名ですが、2021年には東京五輪会場としても利用されました。競技場として使用された施設は現在も利用または利用が予定されています。2020年には「有明ガーデン」が開業しました。大型商業施設「ショッピングシティ有明ガーデン」やイベントホールなども開設、2021年には劇団四季の劇場も開業しています。

また2020年には「東京国際クルーズターミナル」が開業し、今後は大型クルーズ船の玄関口として発展する事も期待されます。

湾岸地下鉄計画とは

東京都では「東京」駅から「銀座」「築地」「豊洲」「有明」などを結ぶ「都心部・臨海地域地下鉄構想」を2022年に発表しています。

さらに将来的にはつくばエクスプレスや羽田空港アクセス線などへの接続も検討されています。

この路線が開業すれば、湾岸エリアの各駅から東京駅まで短時間で結ばれる事になり、湾岸エリアの利便性が大きく向上しますので、再開発と相まって湾岸エリアの大きな発展につながります。

湾岸エリアにはすでに多くの路線も開業しておりアクセスしやくすく、それに加えてさらに将来的には広域的な交通ネットワークが形成される可能性があり、湾岸エリアの発展は東京の東エリアを中心に広範囲に影響を及ぼす事も予想されます。

今後の不動産投資に与える影響は

全国の都道府県の中でも東京の経済力や発展は群を抜いていると言えますが、その中心である「東京」駅から湾岸エリアまでは近い距離にありますが、開発も遅れていたエリアであり今後の大きな発展も見込まれます。

また過去の例から見ると、大規模な再開発は周辺の開発を発生させますので、築地の再開発も周辺にも開発が波及する可能性もあります。

湾岸エリアのある中央区、江東区などを始めとして、こうしたエリアにアクセスしやすい路線などの住宅需要も広域的に増加すると考えられます。

広大な湾岸エリアが大きく発展する事で東京都のポテンシャルも多く向上し、海外からの投資が増加したり、不動産の資産価値や賃貸住宅需要も今後大きく増加する可能性があります。

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