巳年の経済動向を徹底分析。2025年の投資チャンスを見逃さず、不動産市場の変化に対応するための戦略とポイント
新年あけましておめでとうございます。昨年2024年は辰年でした。辰という漢字は「振」とか「震」に通じるとも言われています。2024年は元旦に能登半島沖で大地震があり、また国内においても政局が大きく揺れ動きました。さらに経済面においても日経平均株価が大きく乱高下した事からも大きなぶれや動きが文字通り顕著な1年であったと言えます。
一方2025年は巳年という事で、ヘビが地中からにょきにょきと身体を出して、まさに脱皮するがごとく活動がより活発化するように世の中がダイナミックに変化する象徴とも言われます。
株価倍増の奇跡。アベノミクスがもたらした経済成長
前回2013年の巳年には前年12月に安倍内閣が発足し、何といってもアベノミクスが本格的にスタートした年になりました。現在も継続されている低金利政策など、「アベノミクス3本の矢」によりデフレ脱却からのターニングポイントともなりました。株価はアベノミクスにより上昇、前年のほぼ倍となる1万6,000円台となるなど、上昇傾向が続く事となりました。現在の日経平均株価は4万円前後ですので、マンションに例えると1,600万円のマンションが4,000万円に値上がりしたというイメージです。資産格差がより拡大した12年間でもあった訳です。
デフレからアベノミクスと日本経済がダイナミックに動き始め、特に東京五輪の開催も決定し都心のマンションを中心に不動産が大きく動き始めました。2014年の消費増税もこの年に決まり、いわゆる消費の駆け込み需要も顕在化した年でもあった訳です。
では次に、2025年の展望について分野別に述べてみたいと思います。
中小企業の賃金改善。大手企業に続く賃上げの波
まず、経済面で言うと今年は何といっても春闘におけるベースアップの行方が注目されます。2023年、2024年と2年連続で大幅な賃金アップがありましたが、依然これは大手企業が中心で中小企業においてはまだ満足できる水準には達していないようです。
そして賃上げがされたと言っても物価がそれ以上に上がっていますので、実質賃金は低水準で推移してきました。しかし2025年は3年連続ベースアップの見込みですので、かなり期待できるのではないでしょうか。しかも多くの産業・企業においては人手不足が健在化していますので、特に新入社員・若手社員の給与アップは期待できるのではないでしょうか。
また、国会で継続審議中の103万円の壁につきましては年明けの通常国会において本格的な審議がなされますが、与党と野党の攻防戦の中で財源を考慮すると折衷案的な水準で妥協すると筆者は予想しています。
いずれにしても二つの効果が期待され、一つは所得控除の増大により会社員の手取りが増える事、また従来よりも働ける時間が増えますので、その先には可処分所得の増加が期待され、不動産の購入や賃貸にも良い影響を与えると考えられます。
ドル高・円安の影響。トランプ大統領就任で注目の為替動向
また、為替動向においては2025年1月20日にトランプ大統領が就任予定で、その先に言われている懸念さている事として「トランプリスク」が挙げられます。これは市場が予測不能なところで関税の引き上げや法人税・住民税の引き下げ度合いによっては再度インフレが再燃し、その先の経済の停滞につながるのではないかというものです。
米FRBは今後4回の利下げから2回へ軌道修正していますが、既に長期金利は上昇傾向となっており、それに伴い日銀の出方も慎重になると考えられます。
どちらにしてもドル高、円安の状況が続き、国内における物価の上昇は今年も一段と加速するのではないでしょうか。
ローン金利。円安進行中でも大幅上昇は見込まれず
不動産投資をすでにしている方、これからしようとしている方においては今年の住宅ローン及び投資系ローンの金利の行方も気になる所だと思いますが、円安が進む中で金利を上げるという判断は各金融機関においても難しい判断となる事から今年も大きな金利上昇はないと推測します。
但し将来的には賃金の上昇が物価の上昇を超え、また賃金上昇が中小企業など広い範囲に渡って浸透すれば金利が引き上げられる可能性もあると考えられます。
インバウンド増加で地価上昇。大阪・関西万博とジャングリアの影響
一方、不動産業界においてはまず地価動向においては今年も鉄道の利便性の高いエリア、再開発・公共投資があるエリアにおいての地価は強含みで推移すると考えられます。
特に205年は増加するインバウンドの影響も大きくなると予想されます。インバウンドは2024年1~11月3,337万人であり、2025年はさらに増える可能性があります。その背景には2025年4月から開催される「大阪・関西万博」、さらに沖縄の中部エリアにオープンする日本最大級のテーマパーク「ジャングリア」のオープンなど世界から注目を浴びる施設も続々とオープンします。
インバウンドはこのようなエリアから東京圏にも回遊しますので、東京の経済効果にも寄与する訳です。そうなると宿泊施設及びサービス業を中心とした好立地の土地はさらに上がります。
特に投資系のワンルームマンションは商業地域に建設される事が多いのでなおさらです。
マンション供給の有限性。2025年も続く供給の低水準と価値上昇の傾向
また近年では、タワーマンションを中心としたいわゆる億ションも人気がありますが、実はその億ションの供給エリアの変化が2025年は投資系ワンルームマンション業界にも及ぶ年となるでしょう。
なぜなら2023年は東京都内の億ションの8割以上は山手線の内側に建設されましたが、2024年はその割合が急落しました。つまり億ションが通常のワンルームマンションが建設されるような中野、十条や横浜など、こういったエリアにも浸食し始めています。億ションが建つエリアは一般的に多くの再開発を伴い、タイムラグがありますが地価・マンション価格を押し上げる要因となります。
また、今年のマンションの供給戸数は昨年同様、低水準で推移すると考えられます。主要不動産会社の開発担当者の方々に毎年ヒアリングしていますが、仕入れが十分になされている会社は年々減少傾向となっています。
つまりマンション供給にふさわしい好立地には有限性があると事が言え、有限なものは今年に限らず、価値が上昇する傾向となります。例えば熟練工の技術を必要とするロレックス、有限の資産である金、さらに新しいものとしては発行量が有限となっているビットコイン、など価値が上がるものの共通点は「大量生産ができない」という事です。
2025年の東京都心再開発。日本橋1丁目の超高層ビルとヒルトンホテルの登場
2024年も東京都内の随所において再開発が加速しましたが、2025年も東京都心における再開発は数え上げるときりがありません。具体的には今後都市再生緊急整備地域に指定されている「日本橋1丁目」においては超高層ビルにはヒルトンホテルが出店します。また国家戦略特区地域の事業では「八重洲一丁目」において大規模な開発が完成します。
また、虎ノ門においては「旧虎ノ門病院跡地」において巨大なオフィスビル、店舗が完成します。さらにリニア新幹線で注目されている高輪ゲートウエイエリアにおいては複合商業施設、オフィス、さらに国際水準の住居、外資系ホテル等があります。
その他大井町、豊洲、有明、新宿、エリアも含めて今年も大きく変貌する街が続々と誕生し多くのエリアの土地の資産価値が増大します。
建築費の上昇は続く。ガソリン代の影響と人件費の高騰が要因
建築費は近年大幅な上昇が続いてきました。運送コストなどにも大きく影響するガソリン代は2024年12月に政府の補助が終了し値上がりとなりました。しかし暫定税率が検討され、ガソリン代が下がると思われましたが、結局暫定税率の廃止は見送りとなりました。
今後、給与水準の上昇が各業界にも波及すれば、建築業界の人件費の上昇に弾みをかける可能性もあります。
しかしながら建設業界の人手不足は続いており、2025年以降も建築費の上昇は続くと考えられます。
株価、経済も順調に推移してきた2024年に続き2025年は不動産投資市場においても、もさらに飛躍の年になるのではないでしょうか。
不動産市場では都心を中心にマンション価格も上昇を続けていますが、一層の価格上昇と立地の遠隔化も進む可能性もあります。投資マンション市場では、給与水準の上昇要因により賃料上昇が期待されます。
2025年も皆様にとって良いお年になるよう祈念いたします。