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日本の賃料相場は上昇トレンドへ!不動産投資家が注目すべき最新動向と今後の見通し

日本経済は長らく続いたデフレからの脱却を進め、賃金の上昇とともに消費も活発化しています。その影響を受け、オフィスや住宅、店舗、駐車場などあらゆる賃料相場が上昇傾向にあります。特に東京都心の商業地では賃料の高騰が顕著で、銀座では1坪40万円を超えるケースも登場。さらに、ホテルの宿泊費や駐車場料金も上がり、不動産投資市場において「優勝劣敗」の動きが加速しています。

本記事では、賃料市場の最新トレンドを分析し、今後の見通しや投資家が押さえるべきポイントを解説します。

多様化する賃料の種類。オフィス・住宅・店舗・駐車場・倉庫・ホテル宿泊料まで幅広く存在

一口に賃料と言っても多くの種類があります。例えばオフィスの賃料、住宅の賃料、駐車場の賃料、店舗の賃料、倉庫の賃料、地代、さらにホテルの宿泊料も短期的な賃料と言え、他にも多くの種類があります。

賃料相場は経済の後追い。景気回復・消費拡大の影響で遅れて上昇する傾向

賃料の動きというのは、あらゆる経済の動きの中でも先行して上がるのではなく、むしろ一般の経済の動きよりもやや「遅れて顕在化」していく傾向があります。

例えば、政府の景気対策・経済対策、さらに日銀の金融政策など財政と金融のバックアップのもと、徐々に企業の売上が上がっていきます。企業の売上が上がってくれば、雇用される従業員の名目賃金が上がり、消費に対して意欲的な行動パターンを取る事になります。

消費が拡大していけば、飲食店・アパレル産業などのサービス業界、ホテル業界、人の移動の活性化により鉄道交通、自動車業界、さらにエンターテイメントなど幅広い分野において売上が向上します。

すると、多くの企業・店舗においては賃料を支払っていますので、そのビルや店舗のオーナーは家賃の値上げ交渉に入ろうという意識・気運が高まってきます。

つまり、経済の動きの中ではこのようにその動きに「遅行性」がある訳です。

商業地の賃料上昇が加速。銀座や中野など人気エリアで高級店舗が増加し地価にも影響

経済の活性化により、人の多く訪れるエリアの店舗賃料が上昇傾向となっています。

ここで皆さん問題です。東京都中央区銀座の店舗の賃料はいくらでしょうか。

答えは、何と銀座では1坪40万円を超えるエリアも散見されます。

この背景には、増加する訪日外国人をターゲットとした高級ブランド店の出現が増えている事があるからです。

この傾向は銀座のみならず、筆者のオフィスのある中野駅北口、サンモール・ブロードウエイも同様で、一個で数百万円を超える高級時計を取り扱う店舗が非常に増え、日常においても他のお店もとても賑わっており、この周辺の店舗のオーナーは虎視眈々と賃料を上げるタイミングを見計らっているのではないでしょうか。

このようなエリアは商業地にありますので、商業地の地価上昇が商業地にできるマンションなどの土地の価格に影響を与える訳です。

ホテル宿泊費が急騰。インバウンド増加と維持コスト上昇で価格が倍増するケースも

賃料とは異なりますが、ホテルの1泊当たりの宿泊料はその部屋を1日借りるという賃料という見方もできる訳です。

人流の活性化、インバウンドの増加によりホテル1泊料金も従来の常識をはるかに超える勢いで上昇傾向となっています。

筆者は、毎年4月になると大阪の不動産会社様で研修や講演会の仕事が増えてきています。

先日、毎年利用しているホテルに打診した所、4月6日以降は数ヵ月先まですべて埋まっており、仮に予約が取れたとしても従来の2倍を超える設定となっています。これは大阪関西万博の影響と考えます。

大阪に限らず東京も同様で、その背景には人手不足、人件費の上昇も含めたホテル維持コストの上昇が要因と考えられます。

駐車料金も高騰。都心部では月額10万円超も、維持コスト上昇が価格に影響

鉄道交通ネットワークが拡大しつつある現代でも、常に車の需要は一定数ある訳です。

特に人の移動や物流の活性化により、駐車料金も上昇傾向となっています。

例えば、東京の渋谷・新宿区辺りでも月額5万円・6万円あるいはそれ以上、さらに都心に近づけば10万円以上となっているケースも珍しくありません。駐車場も土地のオーナーからすれば、固定資産税や都市計画税、さらに立体駐車場の場合には電気代も含めた維持コストの上昇により、駐車料金の上乗せに転嫁せざるを得ない状況となる訳です。

空き家900万戸超でも賃料が上がる物件の条件とは?需要と供給の関係を解説

現在日本には空き家住宅が900万戸を超え、住宅は供給過剰状態となっています。

その中でも、立地や建物のクオリティ、交通の利便性などの影響で家賃が上がる物件もあれば、逆に人口減で需要不足に陥り家賃が上がるどころか、借り手がいない状態が続く、ただ固定資産税・都市計画税・管理費だけが出ていくマイナスの資産運用をしている方も実は世の中に多くいらっしゃいます。

賃料相場は需要と供給の関係で決まりますので、そこに住みたい人が多く出現すれば家賃は上がりやすい状況になる訳です。筆者も驚きましたが渋谷駅近くにはわずか9㎡のワンルームマンションの家賃が7万円もするそうです。これはまさに通勤時間も含めた「時間に価値を置いた」住まいの選択と言えるのではないでしょうか。

また、東京都心のタワーマンションなどでは3LDKで70万円だった家賃が一気に10%以上に改定される例も多いと聞きます。直近の例では、大阪の都心のタワーマンションなどでも大阪万博・再開発などの影響もありその上げ幅は拡大しています。

但し、これからもずっと賃料が上がり続けるかと言うと、そこには疑問符が付きます。

あくまでもそのマーケットの中における動きですので、同じ都心エリアの中でも法人需要が高いエリアとそうでないエリア、再開発があるエリアとないエリアなどによって優勝劣敗がより鮮明化していくでしょう。

人手不足時代の社宅ニーズと法人賃貸需要の高まり、賃料上昇の背景を解説

現在は多くの企業で人手不足が顕在化しています。2026年の新卒採用の内定率も 3月1日の企業説明会解禁の前に既に50%に迫っており、若手人材の取り合いとなっている様相です。つまり、優秀な人材と確保するためには福利厚生施設としての社宅の整備がとても大切になります。

昔は、企業が一棟丸ごとの社宅を作りそこに同じ屋根の下で先輩後輩が暮らすという構図が主流でしたが、近年では自分のプライベートな時間を大切にしたいという従業員の要望のもと、利便性の高い快適な暮らしができる区分ワンルームマンションの法人賃貸需要がさらに高まりつつあります。

ここでポイントですが、法人賃貸の場合には社宅費などを財務上、経費として落とせますので、多少の賃料上昇は受け入れる体制が高まっています。

東京は転入超過人口も約7万9千人と全国有数の人口増加都市ですので、今後も賃料は、エリアによって上昇幅の差異はありますが、上がっていく可能性が高いと見ています。

このように現在の日本においては、キャベツやお米などの食材はもとより、多くの耐久消費財・サービス料金が上昇しています。その中で今回述べたように多くの分野において賃料が上昇傾向となる訳です。

但し、先ほど述べましたがキャベツやお米はほぼ全国一律で上昇しますが、賃料においてはエリアや物件など様々な個別要因によって大きな差異が生じる訳です。つまり本物は上がり、そうでないものは下がるという事です。

これから不動産投資をする方は、量にこだわるのではなく、長期に渡って賃貸需要がある所に目を向ける事が大切であると考えます。

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