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長期金利の上昇を示すイメージ

不動産投資は金利上昇にどう備えるか|2026年後半の3つの局面

不動産投資を続けている方の中には、報道で目にする金利上昇のニュースに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。長期金利は2026年9月、約30年ぶりに3%台まで上昇しました。この背景にはインフレの進行、財政悪化への懸念、日銀の利上げ観測など複数の要因が重なっています。金利が上がれば不動産投資への影響も避けられませんが、実は金利上昇に強い物件とそうでない物件の違いは明確です。本記事では、長期金利上昇の仕組みから、2026年後半以降に訪れる金利・自然災害・法人賃貸需要という3つの局面まで、不動産投資の判断軸を整理します。

不動産投資に影響する長期金利とは何か

最近話題となっている長期金利は9月1日に約30年ぶりとなる3%台に上昇しました。その後は若干低下したものの2.9%台と高い水準で推移しています。

長期金利は国が発行する10年物の国債の利回りで、金融機関などの1年以上の貸し出し金利の基準となります。

短期金利は日銀が決定する政策金利であるのに対して、長期金利は市場の動きを反映して変動します。

長期金利はなぜ上昇しているのか、3つの要因

長期金利が上昇する要因は様々で、非常に多くの事象が影響しています。ここでは長期金利上昇の要因として考えられる例をいくつか挙げてみます。

要因1:インフレの進行が長期金利を押し上げる

長期金利は一般的には10年物の国債の利回りです。銀行の預金では利息に当たります。世の中が低金利の時は国債の利回りが低くても売れますが、インフレが進み物価が上昇すれば国債も利回りを高くしないと売れなくなりますので長期金利上昇の要因となると考えられます。

またインフレ時には金利を上げて景気の過熱を抑制する政策も取られます。将来の金利上昇を見越した長期金利の上昇も発生しています。米国を始め世界的にもインフレが進んでおり、金利上昇圧力も高まっています。

要因2:財政悪化への懸念が長期金利に与える影響

高市政権は大幅な財政出動を進めており各種給付金の充実や食品の消費税率の引き下げなども行われていますが、こうした政府の支出増加による財政の悪化も懸念されています。財政が悪化すると国債の発行も増えますので、やはり利回りを高くしないと売れませんので、同じく長期金利上昇の要因となると考えられます。

要因3:日銀の利上げ観測と「金利のある世界」

日銀では国債買い入れを段階的に減額してきており金利上昇の要因となってきましたが、2027年から減額を停止し、年2兆円規模で固定することを決めました。

但し日銀は今後政策金利の引き上げを継続することも予想されます。2026年9月17日、18日に行われる金融政策決定会合では、政策金利の更なる引き上げも見込まれています。

経済の先行き不安による長期金利の高騰を押さえつつも金利を引き上げて、金利正常化、いわゆる「金利のある世界」に向かうと予想されます。

また低金利は円安の要因にもなりやすく、円安対策としても金利引き上げも予想されます。

長期金利の上昇は不動産投資にどう影響するか

私達の生活では金利が上昇すれば預金の金利が上昇するというメリットもあります。

一方、長期金利は固定型の住宅ローン金利の基準となりますので、今後は自己居住用のファミリーマンションなどに使われている固定型金利型の住宅ローンの金利の上昇が続く可能性があります。

但し不動産投資ローンは多くが変動型金利です。変動金利は政策金利が基準となっていますので、長期金利の上昇による影響は相対的に少ないと考えられます。ただし今後は政策金利の上昇も見込まれており、投資用不動産ローンに与える影響も出てくる可能性があります。

2026年後半以降、不動産投資市場に訪れる3つの局面とは

このように金利上昇を始め、今不動産市場は大きな変化を迎えていると言えます。次に今後、2026年後半以降の不動産市場の3つのフェーズ(局面)について述べてみたいと思います。

局面1:金利上昇に強い不動産投資の条件とは

2026年9月3日には大手都市銀行が変動金利の上昇を発表しました。その背景には2026年6月の政策金利の上昇が影響を及ぼしています。住宅ローンの基準金利が引き上げられ今後はそこから優遇幅を差し引いた金利が実効金利となります。

金利上昇は居住用にせよ、投資にせよ、オーナーへの負担増となります。日本は今まで異次元の金融緩和のもとマイナス金利まで経験して、やっと金利の正常化に向かう一歩を踏み出し、現在では政策金利が1%となっています。

金利が低い時は多くの方がその恩恵を受けました。しかし金利上昇局面においては金利上昇の影響を受けやすい人、受けやすい物件と、そうでない物件と分かれていきます。まず金利上昇の悪い影響を受けやすい不動産投資とは、金利が上昇しても入居率が低い状態となっている、家賃が上がらないで逆に下がって行く、家賃が下がる事により、出口価格も下がって行く、というまさに負のスパイラルに陥る不動産投資です。

そこに悪かろう、古かろうの要素が加味されると修繕コストも跳ね上がりまさに窮地に追い込まれる物件も出てくる可能性が高い訳です。

しかしある程度都心に近い、駅に近い、入居率が高い、賃料上昇が見込めるというような物件は金利上昇というネガティブ要因を吸収しつつ一定のキャピタルゲインや良好な収支をゲットできる事ができる訳です。つまり金上昇局面には物件の二極化が進む可能性があるという事です。

局面2:自然災害に強い、安全性の高い不動産投資とは

従来から不動産投資の選択の基準として「資産性・収益性」などが重視されてきました。

ところが昨今の世界的な温暖化気候変動により、直近ではネパールにおける大規模自然災害や国内においても各地で起こる地震、また過去には考えられなかったような短時間での大雨・土砂災害などまさに人命を脅かす状況が頻繁に起きています。

このような観点から考えると、これからの住宅購入、マンション購入、マンション投資においては資産性や収益性を重要視するという事には変わりありませんが、それと同等、あるいはそれ以上に住宅の耐震性・耐火性など「自然災害に強い不動産を持つ」という価値観が非常に重要になる時代を迎えつつあるのではないかと考えます。

考え出したらきりがありませんが、地盤や液状化リスク、もっと大きく言えば活断層があるのかないのか、先日の千葉県の大雨でも分かる通り、同じエリアでも谷を形成するエリアなどリスクは高まるようです。

そういった地形や地質の延長線上に建物の耐震性・耐火性、さらに昨今急速に増えている一般家庭や店舗への強盗事件それにまつわるセキュリティなど、そのようなベースが非常に重要視されていると思われます。

局面3:福利厚生としての法人賃貸需要が不動産投資に与える影響

2027年の新入社員向けのある市場調査によると、企業選択の基準は給与以外には「福利厚生」が上位となっているようです

特に住宅購入時の住宅ローンの利子補給や一定の社宅制度、家賃補助などが充実している企業が人気があるようです。という事は、今後の不動産投資市場においてはまさに人手不足を背景に「法人賃貸需要」がどの程度あるのか、ないのか、全くないのか、この要素が不動産投資市場において非常に重要なキーワードとなってくると考えられます。 以上述べてきたように今後は不動産投資におけるプライオリティが金利上昇に強い不動産、さらに物件の安全性、そして福利厚生と不動産投資の相関関係、この3つの要素が今後の不動産投資の重要なキーワードになると考えます。

参考リンク:

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金利・自然災害・法人賃貸という3つの局面を踏まえたら、次に押さえておきたい判断軸があります。データや制度の観点から、もう一歩踏み込んで確認してみましょう。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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