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穏やかな60代夫婦の暮らしと、資産を「守りながら活かす」イメージ

不動産投資の出口戦略|60代から始める賢い資産活用と相続対策

不動産投資を続けてきた60代以降の方の中には、ローン完済が近づき、これからどう資産を活かすか迷っている方も少なくありません。年金だけでは生活費が不足し高齢でも働き続ける人が増える一方、コツコツ不動産投資を続けてきた方は老後の不安が比較的少ないのも事実です。しかし資産を築いた後は、守りながら賢く取り崩す「出口の設計」が新たに必要になります。本記事では、資産の取り崩し方、医療・介護費の備え、相続や家族信託によるスムーズな継承、そして高齢者を狙う詐欺への対策まで、60代以降の不動産資産活用の判断軸を整理します。

不動産投資家はなぜ60代で「貯める」から「賢く使う」へ切り替えるべきか

現役時代は「貯める・増やす」で資産を形成することが主眼でしたが、60代を迎えると、形成した資産を上手に活用する「守りと出口」が大切となってきます。つまり車に例えると若い頃はアクセルを踏み、60代以降はコントロールが大切になってくるわけです。

お手持ちの資産が「現金・預金」だけだと口座残高が減っていくだけで、それって不安ですよね。「年金」は定期的な収入ですが、物価が上昇している中で近年は実質的には減少傾向です。そこで活きてくるのが時間をかけて運用してきた「不動産」です。

ただし長い時間をかけて形成した不動産という資産を活用する上で大切なのは、一気に現金化して使い切るのではなく、「運用しながら賢く取り崩し、資産寿命を最大化する」という考え方です。

皆さん、「4%ルール」というものをご存じですか。これは「毎年資産の4%を崩していけば、30年間は資産が枯渇しない」というものです。資産の運用益がおおよそ4%を想定しています。例えばリタイア後には資産の4%を毎年取り崩し、それに不動産の収益を組み合わせることも有効です。

筆者は老後は「3つの収入のポケット」を持つことを推奨しています。これはまず「適度な労働収入」を得つつ、「年金」をもらい、さらに不動産収入を始めとする「資産収入」をゲットすることです。つまり不動産収益+アルファの考え方です。不動産収益があることで年金がある程度少なくても不安は少なく、また仕事も適度にできることで健康維持や社会とのつながりにもなります。

ペーパーアセット(株などの有価証券等)は、現金化して使うには資産そのものを売却する必要がありますが、不動産は、「資産本体(物件)を残したまま、果実(家賃)だけを収穫して使える」という決定的な違いがあります。

現在は老後も働いている方も多いので、年金の繰り下げとの組み合わせも有効です。年金を70歳まで繰り下げると受給額が約42%アップします。適度な仕事を70歳まで続け、その不足額を不動産の収益で補えば、年金の繰り下げ受給も可能となるのではないでしょうか。これも不動産収益+アルファの考え方です。

ただし繰り下げ受給で年金が増えた分、税金なども増えるので注意が必要です。

医療・介護費に備える「現金と不動産」の黄金バランスとは

高齢になると気になるのは健康のこと。突発的な医療費や将来の介護費なども視野に入れる必要があります。そこで重要になるのが「投資に回すお金」と「医療費を含めた生活を守る現金(キャッシュ)」の切り分けです。そのための具体的な方法を2つ紹介します。

(1)家賃収入の一部を「医療・介護専用口座」へ完全隔離

毎月の家賃収入から一律で数万円を「絶対に手をつけない医療・介護用プール資金」として別口座に毎月預金します。

高齢になればなるほど病気になるリスクも高まり医療費の出費も増えますので、いざという時にすぐ使えるお金を準備しておくことが大切です。

(2)資産価値の高い区分マンションを「介護資金の切り札」に

有料老人ホームへの入居一時金などで数百万円から数千万円のまとまった現金が必要になっていると言われています。ちなみに東京都の平均的な有料老人ホームではおおよそ1千万円必要と言われています。有料老人ホームに入居する場合には、保有している不動産を売却することで一気にまとまった資金が調達可能となります。つまり不動産は、いざという時の「巨大な現金貯蓄」として機能します。これまでコツコツと蓄えた資産が大きな安心となるわけです。

不動産投資家が終活で押さえるべき相続と詐欺対策のポイント

高齢になると「終活」の重要性も増してきます。

不動産資産を家族にスムーズに継承する3つの実践テクニックについて触れてみたいと思います。

(1)遺言書の作成と家族会議

相続には遺言が有効ですが、「どのマンションを誰に引き継ぐか」「納税資金(現金)はどこから出すか」などを公正証書遺言で遺しておくことでさらに明確となり、遺産をめぐるトラブルも起きづらくなります。

(2)「家族信託」の検討

将来、もし認知症などでオーナー様自身の判断力が低下すると不動産の売却や大規模修繕の契約ができなくなったり、資産が凍結されてしまうこともあります。「家族信託」を組成し管理権限を信頼できる子どもに一歩先に移しておくことで、認知症リスクも回避できます。

(3)不動産の「小口化」や組み換え

分割しにくい不動産は、相続人が複数いると揉める原因になる場合もあります。60代のうちに売却し、現金や遺産分割しやすく相続税評価額を下げられる「不動産小口化商品」へ組み替えておくのもひとつの方法です。

不動産投資家を狙う詐欺の手口と資産を守るための対策

「詐欺被害」も社会的な大きな問題となっていますが、中でも大きな資産を持った高齢者を狙った詐欺は年々巧妙化しています。

高齢者を狙った「オレオレ詐欺」「還付金詐欺」「サポート詐欺」や、さらに不動産オーナーを狙った「過去の原野商法の二次被害」「不要なリフォーム詐欺」「劇場型の投資詐欺」なども多発しています。普段から少しでもお金や不動産、資産などに関して不審な電話や話があったらまずは家族や身近の信頼できる人などに相談するようにしましょう。また #9110 に電話をかけると相談窓口につながります。被害にあった時は110番に通報しましょう。

また詐欺ではなくても高利回りをうたう投資で大きな損害を受けたケースもあります。何千億円も集めたファンドが事実上破綻するケースもあり、多くの場合は出資したお金は戻ってきません。投資の構造が理解できていない商品や高利回りを保証する投資などは、まず家族などに相談してみることも大切です。

出資法では元本保証をして投資を募ることは禁止されていますので、元本保証やそれに近い表現の投資商品はよく吟味することも大切と考えます。

不動産投資を続けてきた人が老後に得られる本当の安心とは

不動産投資を始めるという決断をして、若い頃にその一歩を踏み出したことは、今大きな安心となってその実を結ぶことになります。時間を味方につけたあなたの選択は、老後に大きな差となって表れています。

不動産経営では借入金の返済を終えた後も建物や賃貸の管理が長期にわたって続くため、事業の価値を保ち続けるための管理の質が極めて重要となります。ローン完済までの30年、35年の後も何十年もマンション経営が続きます。こうした長期のプロジェクトですので「購入後の管理・運用のサポート体制がしっかりしている会社を選ぶこと」が最終的な勝敗を分けることにもつながります。資産価値を長期間保全してくれる体制が何よりも大切なわけです。 入居率の高さ、アフターサポートの安心感、DXを活用した確実な管理体制などを持った会社を選ぶことが老後の安心に直結すると考えます。

参考リンク:

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資産を「築く」段階から「活かす」段階に進んだ今、次に押さえておきたい判断軸があります。データや制度の観点から、もう一歩踏み込んで確認してみましょう。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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