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インフレ時代の不動産投資はどう考える?物価・金利・賃料上昇から読む資産形成の判断軸

「最近、何を買っても高くなった気がする」。そんな感覚を持つ人は少なくありません。物価上昇、金利変動、住宅価格の高騰——私たちを取り巻く経済環境は、ここ数年で大きく変化しています。一方で、給与や株価、賃料など“上がるもの”も存在し、単純に「値上がり=悪」とは言い切れない時代になりました。重要なのは、価格変動に振り回されることではなく、「なぜ上がるのか」「何が資産価値を左右するのか」を理解することです。本記事では、不動産投資を含む資産形成を長期視点で捉えるための判断軸を、経済・市場動向とあわせて整理します。

インフレで何が上昇している?物価上昇が私たちの生活に与える影響

世の中のあらゆる物が値上がりしている感があります。4月からは、何と飲食料品だけでも2,800品目近くが値上がりしたそうです。確かにスーパーやコンビニで買い物をしても以前と比べて2,000円程度で購入できる品数がとても減ったなという印象があります。

2月の消費者物価指数は前年比1.6%上昇しました。今年の2~3月ごろには政府の補助もあり電気代は一旦下がりましたが、4月で政府の補助が終了し一斉値上げとなりました。

かつて狂乱物価と言われた1970年代には、やはりオイルショックを原因とした物価上昇がありました。その時も中東戦争が引き金となっており、中東情勢は遠い国のようでも私達の目の前の生活に大きな影響を与えます。

上昇して嬉しいものは

物価が上昇して日々の暮らしや食事代なども厳しくなってきていますが、逆に上がって嬉しいものもあります。次に見てみましょう。

給与はなぜ上昇している?実質賃金と人手不足の関係

上がって嬉しい物の代表に「給与」が挙げられます。筆者は今春多くの不動産会社様の新卒研修をさせて頂きましたが、その初任給の高さに改めて驚きました。現在、人手不足などを背景に給与水準は上昇傾向にあります。厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査によると、2026年2月の実質賃金は前年比1.9%の増加となり、2ヵ月連続の増加となりました。

実質賃金は給与の伸びから物価上昇分を差し引いた分となります。給与自体(名目賃金)<規模 30 人以上>は60ヵ月連続の増加となっています。バイト給料も上昇傾向にあり、給与水準は増加傾向と言えます。

インフレで年金はどう変わる?マクロ経済スライドの仕組み

年金は2ヵ月に1回、偶数月に前月分までの2ヵ月分が支給されます。物価の上昇に合わせて年金も上昇しますが、マクロ経済スライドによって若干引かれています。令和7年度は国民年金(基礎年金)が1.9%の引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げとなりました。若干ですが受給分が増える事になります。

しかし逆に支払いの部分では国民年金などの保険料は、2026年度から410円増加となりました。

在職老齢年金制度の上限引き上げで何が変わる?

年金を受給しながら働いて給与をもらっている方は、給与が一定の額を超えると年金が減額されますが、その限度額が引き上げとなります。2026年4月には51万円から65万円となりました。高齢者の方は年金をもらいながら、より働きやすい環境となった訳です。ただし高齢化の中で働くという事は当然の事ながら「健康」である事が大切です。

株価上昇と企業収益の関係とは?景気とのつながりを考える

株価が上昇しています。2026年4月14日には日経平均株価の終値が5万9,518円と過去最高となりました。NISAなどを含め株式投資をしている方には朗報ではないでしょうか。また株価が上昇しているという事は多くの分野で景気が良くなっているという事です。実際、企業収益も上昇しており高い水準が続いています。企業収益の向上が給与水準の上昇につながると消費も上向き景気も好循環につながると考えられます。

不動産市場で何が上昇している?地価・賃料・建築費の変化

それでは次に不動産関連で値上がりしている物・今後上がる物などについて検証してみましょう。

地価・建築費・マンション価格はなぜ上昇している?

都内など都心部などを中心にファミリーマンションの価格が大きく上昇しています。

地価も上昇が続き、地価は2026年の公示地価では東京都区部の住宅地で9.0%、商業地で13.8%と高い上昇率となりました。建築費も上昇しています。物価上昇による建築資材が値上がりし、さらに建築人件費も上昇しており、建築費の上昇に拍車をかけています。

地価・建築費の上昇の影響は住宅価格だけではなく、大型の再開発などにも大きな影響が出ています。

ナフサ不足は住宅価格にどう影響する?建築資材高騰の背景

中東情勢により原油から精製されるナフサの価格が上昇しています。ナフサとはあまり聞きなれない言葉ですが、ガソリンを精製した後に得られるもので、プラスチックや合成繊維、合成ゴム、合成洗剤や塗料などの他、多くの製品の原料になります。

私達の身の回りでも多くの素材がナフサから作られており、様々な産業でも必須の素材となっています。例えば身近な所ではパソコンや携帯を始め食料品のトレーや包み紙、衣料品など多くの製品が値上がりしたり供給が不足したりする影響も出ています。

住宅業界にもその影響は大きく、多くのマンションの素材の供給が難しくなっています。

つい最近もTOTO、LIXILなどがユニットバスの新規受注を一時停止(現在は再開)や供給調整をすると発表がありました。また塗装の希釈に使用されるシンナーが75%値上がりしたり、水回りや防水関係など様々な素材・設備が値上がりしています。政府もこうした事態を重視しており安定確保に向けて努力しているようですが、ナフサ不足は依然続いています。

今後もこうした住宅設備の供給の遅れや値上がりが続くと考えられますので、建築工期の遅れなども含めマンション価格の上昇にもつながる可能性もあります。

ホテル宿泊料の上昇は地価やオフィス賃料に影響する?

筆者は仕事柄、よく地方に出張しますが、ホテルの一泊当たりの客室料には驚かされます。週末の大阪エリアにおいてもシングルタイプで2万円を超すホテルも珍しくありません。

またビジネスホテルだけでなく、都内の高級ホテルも上昇傾向となっており、いわゆるラグジュアリーホテルの料金はドル換算で600ドルを超えています。これは驚く事にロンドンやニューヨークなどの水準も超えているようです。訪日客の増加から高額な部屋のニーズが増えた事も影響しています。

宿泊料の上昇は周辺のオフィス賃料や地価を押し上げる効果もあります。

マンション賃料はなぜ上昇している?東京の賃貸需要を読む

不動産投資家にとって重要な指標であるマンションの賃料水準も軒並み上昇傾向となっています。特に首都圏の中でも東京が大きく賃料を伸ばしています。

その背景には供給よりも需要が大きい事、その需要の中には人手不足による法人賃貸の割合が高いなど様々な要因があります。住宅価格の上昇と共に賃貸価格も上昇しており、生活費の中でも比重の高い住居費が高くなっています。

長期金利の上昇で不動産投資や住宅購入はどう変わる?

長期金利が2%半ばと高水準になってきています。長期金利はファミリーマンションの購入などに利用される固定金利型の住宅ローンにも影響します。ファミリーマンションは価格上昇と金利上昇により都心部のマンションは購入が難しくなり、下町エリアや千葉・埼玉・神奈川のマンション供給がますます増える可能性もあります。

政策金利は依然として据え置きですので、投資用マンション購入などに利用される変動型金利ローンの基準となる短期金利にはあまり影響が出ていません。しかし今後日銀の政策によっては政策金利も上昇となる可能性もあります。

インフレ時代の不動産投資はどう考える?重要なのは“物件選びの判断軸”

世界情勢のひっ迫を受けて金価格も上昇しています。金はいざという時の資産として有効ですが、不動産資産と異なり金自体には収益がありません。その点、不動産資産は賃貸収入による収益を得る事ができる有利な資産と言えます。

一般的にインフレ期には物価上昇に連動して不動産価格も上昇します。また住宅賃料も上昇しますので、不動産資産を所有している方にとっては有利と言えます。但し全てのマンションが有利と言えません。やはり不動産投資において大切な立地条件・良質な建物・管理、さらに周辺の再開発の可能性など条件がそろった物件はインフレに負けない資産価値の上昇が望めますが、そうでない物件はインフレだからと言って価値が上がるものではありません。

以上述べてきたように春以降に上がるものはまさに多岐に渡ります。今後の経済状況や不動産市場の動向には目が離せません。

インフレや金利変動、建築費高騰などを背景に、物価だけでなく地価・賃料・宿泊料など幅広い価格上昇が進んでいる。重要なのは商品知識ではなく、経済変化をどう読み解くかという判断軸である。不動産投資も、長期視点・立地・管理品質・需要構造を踏まえて判断する必要がある。

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インフレや金利変動が続く時代では、「なぜ価格が動くのか」という背景理解が重要になります。あわせて以下の記事も参考にしてください。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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