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ふるさと納税控除されてる?チェックするにはどうすればいいのか

好きな自治体に寄附することで返礼品がもらえて、住民税や所得税の控除が受けられるふるさと納税。総務省「ふるさと納税に関する現況調査」によると、全国のふるさと納税の受入額は年々増え続け、2021年度で約8,302億円に達しています。すでにふるさと納税を利用している方も多いでしょう。

でも、肝心の「住民税や所得税の控除」がきちんと行われているか、チェックしている人は少ないのではないでしょうか。返礼品にばかり目がいって、きちんと控除が受けられていなかったら、高い税金をみすみす支払っていることになってしまいます。

そこで今回は、ふるさと納税の控除がされているのかをチェックする方法を紹介します。

ふるさと納税の控除には手続きが必要

ふるさと納税は、自分で選んだ自治体に寄附をすることで、2,000円を超えた寄附金額を住民税や所得税から差し引く(控除する)ことができる制度です。「納税」とついていますが、実際には「寄附」の制度です。

多くの自治体では、ふるさと納税をした人に対する返礼品を用意しています。返礼品の種類はさまざまで、食品・日用品・雑貨・家電製品・旅行券など、いろいろあります。ふるさと納税サイトでは、これらの返礼品を検索して、ネットショッピングと同じような感覚で寄附することができます。

本来支払う住民税や所得税の分をふるさと納税で好きな地域に先に寄附するだけなので、ふるさと納税は「節税」にはなりません。しかし、実質2,000円の自己負担で返礼品をもらうことができるのでお得、というわけです。ふるさと納税の還元率は最大30%と決められているので、たとえば5万円寄附したら1万5,000円分の返礼品がもらえる計算です。

ふるさと納税サイトなどでふるさと納税の手続きを行うと、追って各自治体から返礼品が届きます。しかし、住民税や所得税の控除を受けるには、別途自分で手続きをする必要があります。ふるさと納税で支払った寄附金は「寄附金控除」の対象になります。寄附金控除を受けることで、税金の計算のもとになる課税所得が減らせて、税金が安くなるというわけです。

ふるさと納税で寄附金控除を受けるには、確定申告をするか、ワンストップ特例制度を利用する必要があります。

確定申告

確定申告は、1月1日〜12月31日までの1年間の所得から税額を計算して納税する手続きです。会社員、公務員の方は、会社が年末調整をしてくれるので、確定申告をするケースが少ないかもしれませんが、個人事業主やフリーランスの方は毎年1回、確定申告をしています。

会社員・公務員の方でも確定申告の必要のある人や、ふるさと納税で6自治体以上に寄附した人は、ふるさと納税の寄附金控除も確定申告で手続きする必要があります。なお、ふるさと納税の手続きを確定申告で行うと、所得税と住民税からそれぞれ控除されます。

ワンストップ特例制度

ワンストップ特例制度は、確定申告せずに寄附金控除が受けられるしくみです。ふるさと納税を行なったあと、各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」という書面を提出するだけで寄附金控除が受けられるのでとっても手軽です。ワンストップ特例制度は確定申告の必要のない人で、寄附した自治体が5つ以下のときに利用できます。なお、ふるさと納税の手続きをワンストップ特例制度で行うと、住民税だけ控除されます。

「確定申告なら所得税と住民税から控除されるのに、ワンストップ特例制度は住民税だけなら、確定申告のほうがお得そう」と思われるかもしれませんが、そうではありません。控除される金額の内訳こそ違いますが、合計はどちらも同じです。ワンストップ特例制度を利用できるなら利用しておき、利用できないなら確定申告をすればよいでしょう。

ふるさと納税の控除はどこで確認する?

ふるさと納税の控除が正しく行われていれば、その年の所得税が還付され、翌年の住民税が安くなります。具体的にどう確認するか、紹介します。

所得税(確定申告で手続きした場合)

確定申告でふるさと納税の手続きをすると、まず所得税が還付されます。確定申告書の控えにある「還付される税金」の欄に所得税の還付金額が記載されているので、確定申告書に記載した銀行口座に振り込まれているかを確認しましょう。

住民税(確定申告・ワンストップ特例制度共通)

住民税の控除は、毎年5月から6月に届く「住民税決定通知書」で確認できます。

【住民税決定通知書】

(株)Money&You作成

住民税決定通知書は、前年の所得などの情報をもとに計算された住民税の金額を知らせる書類です。実際には、黄色のところでつながっている細長い書式です。

ふるさと納税で控除される住民税の金額は、市町村・道府県の「税額控除額」の欄に記されます。この合計額が以下の金額になっているかを確認しましょう。

・確定申告:ふるさと納税の寄附金額-2,000円-所得税の還付金額

・ワンストップ特例制度:ふるさと納税の寄附金額-2,000円

控除される住民税の金額がこの計算式の金額と同じならば、正しく住民税の控除が行われています。なお、(摘要)の欄に「寄附金税額控除額」などとして、控除されている金額が具体的に記されている場合もあります。

ふるさと納税の上限額が変わるケースがある

ふるさと納税は実質2,000円の自己負担で返礼品がもらえるとお話ししました。とはいえ、誰でも際限なくふるさと納税できるわけではありません。ふるさと納税で自己負担を2,000円にできる上限額は、ふるさと納税をする人の年収や家族構成などによって異なります。この上限額を超えて寄附をしても、控除の対象にならずに自己負担となってしまいます。

ふるさと納税の上限額の目安

総務省のウェブサイトより(株)Money&You作成

また、次のような場合には、ふるさと納税の上限額が変わってしまうケースがあります。

医療費控除を併用した場合

医療費控除は、医療費を年間10万円以上(所得が200万円未満の場合は所得の5%)支払った場合に受けられる所得控除です。医療費控除をすると、課税対象となる所得額が減り、所得税や住民税を減らすことができます。しかし、課税対象となる所得額が減ることで、ふるさと納税の上限額が減ってしまいます。

また、医療費控除は確定申告が必要な手続きなので、ワンストップ特例制度が使えなくなる点にも注意が必要です。

住宅ローン控除を併用した場合

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を購入・リフォームした人が利用できる制度。年末のローン残高の0.7%を最大13年にわたって控除できます。

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用すると、基本的にふるさと納税の上限額に影響はありませんが、住宅ローン控除による節税金額が少なくなる可能性があります。まず所得控除でふるさと納税の寄附金額が控除され、課税所得が決まります。そして、所得税や住民税の金額が決まります。次に住宅ローン控除は、所得税が控除され、控除しきれない分は住民税から控除されます。つまり、ふるさと納税を確定申告で手続きした場合は、所得控除で税額が減った分だけ住宅ローン控除で節税できる所得税の金額が減ってしまいます。また、住宅ローン控除の金額をきちんと把握せずに上限金額ギリギリの金額でふるさと納税をしてしまった場合には、ふるさと納税の自己負担額が増額する可能性があります。(ワンストップ特例の場合は控除対象が住民税のみなので、影響はありません)。

また、住宅ローン控除も1年目だけは確定申告が必要なので、ワンストップ特例制度が利用できなくなります。

iDeCoを併用した場合

iDeCoは、老後の「自分年金」を作ることができる制度。自分で掛金を出して運用し、60歳以降にその運用した結果の資産を受け取ります。

iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象で、全額所得控除できます。しかし、医療費控除と同様、課税対象となる所得額が減ることでふるさと納税の控除額上限も減ってしまいます。

投資で利益が出た場合

投資で得られた利益は「譲渡所得」という所得です。給与所得だけでなく、たとえば株式を売って譲渡所得がある場合には、ふるさと納税の上限額も多くなります。反対に、損失があった場合には、所得が増えたり減ったりするわけではありませんので、ふるさと納税の上限額も変わりません。

各ふるさと納税サイトでは、これらの控除を含めてふるさと納税の上限額を調べることができるシミュレーションを用意していますので、自分の上限額がいくらか、ふるさと納税をする前にチェックしておくといいでしょう。

正しく控除されてなかったらどうする?

ふるさと納税の控除が反映されていなかった場合は、まず手続きを正しく行なったかを確認しましょう。確定申告もせず、ワンストップ特例制度の「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」も提出していないとなれば、当然控除は反映されませんので、注意しましょう。各種書類に不備がなかったかも、もう一度確認してみてください。

ワンストップ特例制度を申請していても、6つ以上の自治体に寄附した場合は確定申告が必要です。また、医療費控除など別の用途のために確定申告をする場合も、ワンストップ特例制度は利用できなくなります。もし控除がきちんと反映されていなくても、ふるさと納税を行った翌年から5年以内であれば、確定申告することで控除が受けられますので、今からでも手続きをしましょう。

確定申告を漏れなく行っている方や、ワンストップ特例制度の要件を満たしているにも関わらずふるさと納税が控除されていない場合は、自治体などに確認してみましょう。

また、「寄附した額のわりに控除が少ない」という場合は、自己負担2,000円で寄附できる控除額上限をオーバーしている可能性があります。ふるさと納税自体は控除額上限を超えてもできますが、控除はされませんので、自分の控除額上限を踏まえてふるさと納税を利用するようにしましょう。

ふるさと納税による所得税の還付は確定申告後の控え、住民税の控除は翌年の5月から6月頃に届く住民税決定通知書を見ることで調べられます。寄附してから実際に控除を受けるまで時間が空きますし、返礼品も気になるので忘れがちですが、お得にふるさと納税を利用するためにも、控除されているかチェックするようにしましょう。

何より、ふるさと納税は自己負担2,000円で返礼品がもらえてお得な制度です。まだ始めていない方は今年こそふるさと納税にチャレンジしてみることをおすすめします。

高山一恵 (株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー

一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。月400万PV超の女性向けWebメディア『Mocha(モカ)』やチャンネル登録者1万人超のYouTube「Money&YouTV」を運営。著書は『11歳から親子で考えるお金の教科書』(日経BP)、『マンガと図解 定年前後のお金の教科書』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書累計100万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

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