新時代のマネーリテラシー 森井先生と「税」を学ぼう#5 【相続税編】
毎回ゲスト講師をお招きして、お金についてもっと「考える、きっかけ」を配信している72channel。
今回の講師は税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中の森井じゅん先生。稼ぐためには投資も大切ですが、出ていくお金を「守る」ために、私たちの生活からは切っても切れない「税金」について、様々な角度から教えていただきます。
第5回目は・・・「相続税」編です。 前回は「所得」の中でも「金融所得」が税制面で優遇されているなど、あまり知られていない事実を教えてもらいました。
#5では話題が変わり、相続税について。サザエさん一家でもし相続が発生したらどうなる?といったわかりやすい例え話とともにお話いただきました。
前もって考えておきたい相続税。
前回は金融所得と給与所得では税率が違う、などといったお話をしていただきました。今回テーマがガラリと変わって「相続税」についてお話してくれた森井先生。興味はありながらも、腰を据えて学ぶ機会があまりない話だけに、楽しみですね。
「相続税に興味がある人は多いのではないでしょうか。相続対策に不動産を買う、など聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、そもそも相続税ってなんなのかを理解していますか。相続税は、前もってしっかり考えておかないと、後からトラブルになったり家族仲が悪くなったりすることもある大事な話。しっかりと理解してくださいね。」
相続問題で家族が絶縁、なんてテレビやドラマの世界の話だと思っていましたが、実際に身の回りに起こる可能性があるんですね。注意深く勉強していきましょう。
「まず相続税を考える上で知らなければいけないのは、『法定相続人』です。法律で定められた相続の権利を持つ人のことを言いますが、家族で言えば配偶者は相続人ですね。子供がいる場合は、配偶者と子供。子供がいない場合は、配偶者と父母となります。色々なケースがあってわかりにくいところもありますので、サザエさんの一家で例えて話をしてみます。」
誰もが知っている国民的アニメだけに、これなら誰でもイメージがつきそうですね!
もしも、サザエさん一家で相続が発生したら?
「例えば、波平さんが亡くなったとした場合を考えましょう。配偶者のフネさんは法定相続人ですね。子供はサザエさん、カツオくん、ワカメちゃんで合計4人の法定相続人がいることになります。法律では3000万円+600万円×法定相続人の合計値が相続税のかからないラインですが、子供がいない場合には父母や兄弟が課税対象になる場合もあります。細かい話になっていきますが、誰が法定相続人になるのかをあらかじめ考えておくことが大切なわけです。」
法定相続人の基礎的な条件は見えたような気がします。ちなみにタラちゃんは波平さんにとても可愛がられていますが、相続の権利はあるんでしょうか。
「基本的にはタラちゃんは法定相続人ではありませんが、相続の権利が行く場合もあります。例えば既にサザエさんが亡くなっていた場合には、代襲相続といってタラちゃんが該当者になることもあるのです。ちなみにマスオさんは血がつながっていないので、法定相続人にはなりません。ただし、マスオさんが養子縁組をしていた場合は、親子関係になるので権利が生まれたりもします。このように、養子縁組がどのように行われるかは、相続を考える上でとても大切になります。お金を持っている人の場合、相続税を考えて養子縁組がツールとして使われるケースがありますよね。」
いろんな家族があるように、家族ごとによって相続税が発生するケースはまったく違うので、自分の家族の場合はどうなのかを前もって考えておく必要がありそうですね。
家族の間では切っても切れない大事な話。
法定相続人の条件は、なんとなくわかってきました。それでは、相続税の節税方法や法定相続人ごとの遺産の振り分けはどのようになるんでしょうか。森井先生は話します。
「まず基礎控除が『3000万円+600万×法定相続人』と話をしましたが、法定相続人が多いほど基礎控除が大きくなるので、相続税の計算上は有利になるわけですね。そのうえで、どうやって遺産を分けていくか。まずは配偶者に半分、残りの半分を子どもたちで分ける計算になります。その場合気をつけなければいけないのが、単独で税金を計算しない点です。例えば土地を受け継ぎましたとなった時に、その土地に対して税金がかかるわけではなく、課税対象の財産全体が1億円分であれば、その全体に対して税額を算出する計算になります。そして確定した税金を配偶者や子供たちに割り当てる形になるんです。」
なるほど、不動産の資産のみを相続した場合には税金を支払うための現金が必要になったりするわけですね。それが払えなくて破産なんてことになったら笑えません。誰がどの遺産を相続するのかといった点も議論になりそうですね。
「話しにくいことかもしれませんが、何よりも家族で相続について話し合う機会をつくることが大切だと思っています。お金のことなので難しいかもしれませんが、ぜひ腹を割って話して、希望を聞いてまとめておくことから相続対策は始まっていくんです。」
生きているうちにしか話せないこと。残す側も受け取る側も準備を進めておかないと、明日いきなり何かあっても対応できないですよね。これは、自分も一度親や兄弟と話してみたほうがいいと感じました。
今回は、相続税についての話をしてもらいました。いつかは自分にも降りかかる話だと思いながら、面と向かって家族で話すこともなかった話題。大切な機会をつくるために、改めて背中を押してもらった気がします。
さて、次回はどんな話が聞けるのでしょうか。期待して待ちましょう。
森井じゅん プロフィール
公認会計士/税理士/ファイナンシャルプランナー。
高校中退後に、大検取得・留学・出産を経て一念発起。シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。
現在、森井会計事務所代表として税理士業務、企業コンサル・監査を務める傍ら、お金にまつわる執筆や子育て論などのTVコメンテーターとしても活躍中。