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最新経済動向と不動産投資市場の行方は【プロが教える不動産投資コラム】

新型コロナは2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」へと移行しました。多くの人の動きが予想され経済的にも大きな効果が期待できると予想されます。さらに今後の経済や不動産投資への効果についても検証してみたいと思います。

新型コロナが5類へ移行、ガイドラインも撤廃

新型コロナが「5類」へと移行し多くの規制などが緩和、あるいは撤廃となりました。政府から発表されていた「新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」も5月8日に撤廃されました。これは多くの人が集まるイベントや飲食店などの規制などのルールが全て撤廃となる訳です。コンサートやテーマパークなどでも、感染症予防については自主判断となるものの、規制がなくなります。また「全国旅行支援」でも「ワクチン接種歴又は陰性の検査結果の確認」などの条件が撤廃されました。

世界的にも新型コロナの「緊急事態」が終了

日本では子供の日にあたる5月5日には、WHO(世界保健機構)が新型コロナウイルスによる「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の終了を宣言しました。WHOによる緊急事態宣言は3年3ヵ月続いた事になります。米国でも5月11日に「国家非常事態宣言」が解除となる予定です。

世界的にもこうしたコロナの規制がなくなる事で、人や物の流れなども活性化する事が予想されます。

5月8日から水際対策も撤廃に

日本では空港などで実施されていた「水際対策(入国制限)」も4月28日に撤廃されました。「3回以上のワクチン接種証明書」または「出国前72時間以内に行ったPCR検査による陰性証明書」なども不要となりました。また中国からの帰国・入国者の各種証明書の提示も不要となります。

このように4月29日以降は今までのようにコロナによる入国規制がなくなった事で日本への入国もしやすくなり、インバウンド(訪日外国人)の数も大幅に増加する事が予想されます。

インバウンドは増加傾向に

2023年に入りインバウンドの数は増加傾向にあります。コロナ発生前の2019年には3,188万人でしたが、2020年は新型コロナの影響での約411万人(前年比87.1%減)となり、2021年はさらに減少し約24万人(前年比94.0%減)と大幅減となりました、

2022年は10月から入国規制が緩和となり2022年は約383万人と前年比約14倍と増加傾向となりました。さらに2023年も増加傾向が続いており、1~3月の合計で約479万人、前年同期比で約46倍となりました。3月までに前年の総数を超え、2019年と比較しても半分以上の水準に回復してきています。

インバウンド(訪日外国人)数の推移

2019年2020年2021年2022年2023年
1-3月
訪日外国人数31,882,049人4,115,828人245,862人3,832,110人4,790,300人
前年比2.2%△87.1%△94.0%1,458.6%4,661.4%
2019年比△87.0%△99.2%△87.9%
<日本政府観光局(JNTO)資料よりオフィス野中作成>

※数値は速報値を含みますので変更となる可能性もあります

中国からの訪日客の動きは

インバウンドの中でも最も影響が大きいのが中国からの訪日客です。インバウンドは回復してきているものの、中国からの来日数は2023年3月には75,700人と2019年の691,279人と比較して約89%の減少です。コロナ前の約10分の1となっている訳です。

今後中国からの訪日客が回復してくれば、インバウンドの総数は大幅に増加する可能性もあります。

人の動きが回復し波及効果も

こうしたインバウンドを含めた人の動きが回復してきた結果、多くの波及効果が表れています。JR東海は2023年3月期に3期ぶりの黒字を記録し、純利益が2,194億円となりました。売上高は50%増加し営業利益が大きく増加。これは東海道新幹線の利用者の増加も要因となっています。人の移動距離と消費は比例する傾向があります。筆者はGW中に東京から新幹線で大阪を訪れましたが、社内は日本人の観光客の他、インバウンドを含めほぼ満席状態でした。

航空大手のJALとANAも2023年3月期の決済で3年ぶりに黒字となりました。国内・海外からの旅行客が増加しこうした運輸業界はいち早く業績が回復してきています。

宿泊者数も増加しており、観光庁の発表した「宿泊旅行統計調査」によると2023年3月ののべ宿泊者は4,144万人で前年同月比76.7%の増加、2019年3月と比較してもわずか5.5%の減となっています。

ホテルなど宿泊業界も稼働率の上昇と共に宿泊料金も上昇しています。普段筆者が使う大阪ミナミのホテルもコロナ前は一泊1万円だったものが3万円に上昇しています。今後ホテルなどサービス業界において賃金アップと共に人手不足が顕在化する可能性もあり、実際に都内の2022年度の有効求人倍率は4年ぶりに上昇しており、企業やサービス業などの採用活動も今後ますます活発化していくと考えられます。

今後のインバウンドの動向と経済効果

政府は3月31日に「観光立国推進基本計画」を閣議決定しました。25年までに新型コロナによるインバウンドの減少を回復させるものです。計画ではインバウンドの数を新型コロナ前の2019年の水準にまで回復し、訪日消費額を2019年を上回る5兆円とし、一人当たりの消費単価を20万円に引き上げるものです。さらに国内の旅行及び旅行消費額についても2019年を上回る事を目標としています。

日本ではかつてインバウンドの増加により消費が増加し、2019年にかけて観光地や商業地の地価が大きく上昇してきました。その反面、新型コロナにより地価が大きく上昇したエリアはその反動で多く下落したケースも散見されました。しかし2025年までにインバウンドがコロナ前の水準に回復すれば、地価も再び大きく上昇する可能性があります。

テレワークの動向は

新型コロナによってテレワークという新しい勤務形態が普及しました。しかし今後は業種によっては、通常の出勤に戻す企業も多くなると考えられます。最近の調査でも出勤形態をコロナ以前の状態に戻す企業と、続ける企業の数はほぼ同数となりました。都内のオフィス需要も増加してきており、オフィス賃料の上昇も見られます。

つまり今後は住宅需要も都内に出勤する方とテレワークの二種類に分かれる事になり、住宅の需要も立地の二極化が続く可能性があります。ただしテレワークで郊外でも良いといっても交通利便性や生活利便性は高い立地である必要があると考えられます。

今後は経済発展が続き「失われた3年」となるか

日本ではバブル崩壊後、一時的な景気上昇はありましたが概してデフレ経済が続き「失われた20年」などと呼ばれていましたが、安倍内閣が発足した2012年の年末以降、株価・地価ともに大きく上昇が続きました。

2020年頃から新型コロナの発生により緊急時代宣言が出されるなど、飲食店やイベント、旅行業界やインバウンドを始め多くの影響が出ました、今後はアフターコロナの経済発展が続けば、このコロナの時期は「失われた3年」と呼ばれる可能性もあるかもしれません。

発展が見込まれる今後の不動産投資市場

今後大きく経済が発展すれば、不動産市場もさらに活性化する可能性も高くなっています。また2023年3月期の決算では大手商社や海運業などが円安の恩恵もあり業績が大きく上昇し最高益を記録しています。

今後世界及び日本経済はアフターコロナへの転換期として大きく変貌する可能性もあります。都内の4月の物価が3.5%の上昇となるなどインフレも進む中で不動産や住宅需要の増加から地価・不動産価格の上昇、さらに就業人口の増加から住宅需要も増加する可能性もあり、東京各地で進む再開発との相乗効果により、東京への不動産投資の将来性は高いと考えられます。

但し、将来的にもこうした資産価値の恩恵が受けやすいマンションの条件として、立地、クオリティ、利便性などの条件が重要となってきており、空き家住宅など住宅の選別化も進む中で、より良いマンションを選ぶ眼が大切と言えます。

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