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格差社会で不動産投資はどう考える?資産形成で重要な“判断軸”を整理する

インフレや株価上昇、人口集中などを背景に、日本では資産格差が拡大しています。本記事では、現金保有だけでは資産価値が維持しにくい時代において、NISAや不動産投資を含む資産形成をどう考えるべきかを整理。短期利益ではなく、長期視点・分散・地域性を踏まえた判断軸の重要性を解説します。

格差社会とは?なぜ今「資産格差」が拡大しているのか

「格差」という言葉はあまり聞き心地の良い言葉ではありません。一般的に世の中全体が不況・デフレの時には、もちろん一定の富裕層もいますが、貧困層・中間層と富裕層とでは格差が縮む傾向にあります。お金持ちは高級住宅に住む事も多いですが、食事などは健康志向を背景に貧困層・中間層も富裕層もさほど大きな格差はない訳です。

日本では高度経済成長を経る中で多くの国民の所得が増加し、いわゆる「一億総中流」という意識も芽生えました。しかしバブル崩壊、デフレ期には就職氷河期、派遣切りと言われる非正規労働者の解雇など、就業格差も拡大しました。

現在のような景気上昇、インフレのもとでは、就業機会は増えましたが、「資産格差」は拡大する傾向となっていると言えます。

なぜ金融格差は広がる? 投資資産の増加データから読み解く

日銀の発表した資金循環統計によると2025年12月末の日本の家計の金融資産は2,351兆円と過去最高となりました。前年同期の2,233兆円から118兆円も増加しています。しかし全ての方の資産が増加している訳ではありません。

その内訳を見ると、「現金・預金」が前年比0.5%増とそれほど増加していませんが、株式等は22.6%、投資信託は21.3%と、いわゆる「投資」を行っている方の資産が大きく増加している事が分かります。

いくら全体で増えたと言っても、中間層以下の方の金融資産の増加はさほど多くはありません。元々一定の金融資産をお持ちの方が株の投資などでさらに莫大な利益を生んでいる訳です。

家計の金融資産の推移

2024年2025年
3月末6月末9月末12月末3月末6月末9月末12月末
残高(兆円)2,1872,2172,1802,2332,2002,2402,2872,351

参照:日銀「2025年第4四半期の資金循環(速報)

家計の金融資産の内訳と前年比(2025年12月末)

内訳金融資産前年比
金融資産計2,351兆円5.3%
現金・預金1,140兆円0.5%
債務証券34兆円9.6%
投資信託165兆円21.3%
株式等342兆円22.6%
保険・年金・定形保証581兆円1.5%
その他89兆円11.5%

参照:日銀「2025年第4四半期の資金循環(速報)

所得格差はなぜ広がる?給与データから見る日本の現状

次に給与について見てみましょう。人手不足や企業収益の増加などで給与水準も上昇の傾向にあります。厚生労働省の発表した毎月勤労統計調査によると、2024年の給与所得者数は5,137 万人、平均給与は478万円で前年比同3.9%、18万円の増加となりました。

国税庁の発表した「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、令和2年に年収300万円以下の方は1,896万人でしたが、令和6年には1,640万人に減少しています。逆に年収1,000万円以上の方は令和2年238万人から令和6年には320万人に増加しています。

高所得者の方が増加していることが分かります。

給与が4%増加しても、年収300万円の方と年収1,000万円の方とではその増加金額も違ってきます。また企業の規模によっても給与水準も異なります。主に大企業が中心となり給与水準が上昇していますが、全体に行き渡っているとは言えない状況となっています。

給与階級別給与所得者数の推移<300万円以下>

年収令和2年令和6年
100万円以下436万6千人393万4千人
100万円超 200万円以下687万4千人570万7千人
200万円超 300万円以下772万2千人676万7千人
300万人以下 合計1896万2千人1,640万8千人

参照:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

給与階級別給与所得者数の推移<1,000万円超>

年収令和2年令和6年
1,000万円超 1,500万円以下175万5千人230万6千人
1,500万円超 2,000万円以下37万3千人57万6千人
2,000万円超 2,500万円以下11万2千人14万7千人
2,500万円超12万8千人17万4千人
1,000万円超 合計238万8千人320万3千人

参照:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

相続格差とは?資産を受け継ぐ人との差が広がる背景

資産格差が広がる中で、その資産を「相続」する方も多くなっています。相続税は一定の資産を相続する方にかかりますが、その相続税を支払う方の割合が2023年の9.9%から2024年には10.4%と増加しています。

被相続人1人当たり課税価格も2023年の1億3,891万円から2024年は1億4,025万円と増加しています。この要因としてインフレ、株価上昇、不動産価格の上昇などで相続資産の価値が上昇していると考えられます。

こうしたことから大きな額の相続を受けられる人とそうでない人の資産格差は大きいものとなります。相続した資金で都心の高額のマンションを購入するケースもあります。

相続税の課税対象者の推移

2023年2024年
課税対象者15万5,740人16万6,730人
割合9.9%10.4%

参照:国税庁データより作成

地域格差は不動産価値にどう影響する?相続データから考える

相続税の課税対象者の方を都道府県別に見ると東京都が最も多く20.2%となりました。つまり相続を受けた約5人に1人に相続税が発生する程の資産を相続している事になります。

同じ不動産資産を持っていても、当然地域によってその価値は異なります。東京都は人口、経済力、将来性なども極めて高く、不動産の資産価値も非常に高くなっています。東京など都心部では大規模な再開発が進み、多くの企業が集積し就業人口も増えています。しかし地方を見ると、シャッター通りが進んだり鉄道路線の廃止が進むなど過疎化していくエリアも見受けられます。こうした格差は地価・不動産価格にも大きく現れています。

都道府県別 相続税 課税対象者割合ランキング(上位3位)

順位都道府県割合人数
1東京都20.2%28,085人
2愛知県16.2%13,398人
3神奈川県15.5%15,864人

参照:国税庁データより作成

人口集中は不動産投資にどう影響する?東京一極集中と資産価値

地域格差の要因として人口が挙げられます。都道府県別に人口規模を見ると東京が最も多く約1,400万人となり、日本の人口が約1億2,000万人ですのでその10%以上を占めている事になります。また重要なポイントとして転入超過人口が挙げられます。2024年に転入超過となった都道府県はわずか7都県のみで、その中で最も多かったのは東京都となりました。東京都は人口が多く集積し企業も多い事から、都道府県別のGDPも東京が1位となっています。

東京の規模は他の道府県と比べて大きく、東京一極集中が続いていますが、さらに神奈川県の人口・経済規模が大きく、東京と神奈川で非常に大きな経済圏を形成しています。

こうしたエリアの地価・不動産の資産価値は高く、他のエリアとの差がますます開いていく可能性もあります。

2025年 都道府県別転入超過ランキング(上位3位)

順位都道府県転入超過人口
1東京都65,219人
2神奈川県28,052人
3埼玉県22,427人

参照:総務省「住民基本台帳人口移動報告2025年結果」

格差社会で資産形成はどう考える?不動産投資を含む長期視点

資産格差時代においてはこつこつと働いて貯金をする事も大切ですが、資産運用をする発想と行動力も大切となってきます。近年ではNISAやiDeCoなどを始めた方も多く、株価の上昇でその資産価値も上昇していると思います。

筆者は、資産形成の中で「不動産投資」も推奨しています。インフレに強く、ローンを家賃収入で返済しますので月々の負担も少なく、ローン終了後には大きな資産となります。

資産は一朝一夕で作る事はできません。短期的な利益などは意識せず、あくまでも中・長期的な視点に立脚した資産運用のスキーム作りがとても重要になってきます。

今回のコラムをきっかに皆様の今後の資産作りの参考にして頂ければ幸いです。

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執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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