
Vポイントの「ポイント運用」スタート どんな投資体験ができる?
Vポイントは全国のさまざま店舗やインターネットのサービスを利用すると貯められる共通ポイント。Vポイントをメインで貯めている人も多いでしょう。
Vポイントでは、2025年3月4日から「Vポイント運用」がスタートしました。
今回は、Vポイント運用のしくみとできること、「Vポイント投資」との違いをご紹介します。
Vポイント運用がスタート
Vポイント運用は、手持ちのVポイントを擬似的に運用することができるサービスです。Vポイント運用では、あらかじめ決められたコースの中から、自分が利用したいコースとポイント数を選ぶだけで運用がスタート。Vポイント運用の成果に合わせてVポイントが増減します。
Vポイント運用はいつでも運用をやめて、Vポイントとして引き出すことができます。Vポイントが増えているときに運用をやめてVポイントを引き出せば、Vポイントは運用をする前よりも増えます。しかし、あくまで運用ですから、Vポイントが必ず増えるとは限りません。運用の状況によっては、Vポイントが減ってしまうこともあります。Vポイントが減ることはあっても、お金が減ることはありません。
共通ポイントの「ポイント運用」サービスは、楽天ポイント・PayPayポイント・dポイント・Pontaポイントといった主だった共通ポイントにはすでにあります。Vポイントにはこれまでポイント運用のサービスがなかったのですが、今回Vポイント運用がスタートしたことで、Vポイントでもポイント運用ができるようになりました。
Vポイント運用を始めるには?
Vポイント運用を始めるには、Vポイントの貯まるカード(モバイルVカード・Vポイントカードなど)が必要です。スマホでVポイント運用のサイトにアクセスすると、Vポイント運用ができるカードの登録画面が開きます。カードに記載されているV会員番号などのカード番号がわかる場合は、それを入力すればOK。
わからない場合も、氏名や生年月日、電話番号などの登録情報を入力して検索し、登録することができます。人によってはカードの存在自体を忘れていて、「意外とポイントが貯まっていた」ということもあるかもしれませんね。
なお、Vポイントアプリを利用している方は、Vポイントアプリ経由でVポイント運用をすることも可能です。
<Vポイント運用の初期画面>

Vポイント運用の運用コースは?
Vポイント運用の運用コースは3種類あります。いずれもETF(上場投資信託)の値動きと連動するようになっています。なお、以下のデータは2025年4月15日時点のものです。
1、全世界コース
Vポイントが先進国・新興国の株価に連動するコースです。Vポイントサイトでは米国・日本・英国・カナダ・中国・インド・台湾などに投資できると紹介されています。具体的には、「iシェアーズ MSCI ACWI ETF」というETFの価格とVポイントが連動します。
・iシェアーズMSCI ACWI ETF(ACWI)
設定日:2008年3月28日
純資産総額:191億ドル基準価額:112.72ドル
経費率:年0.22%
出来高:282万口
直近配当利回り:1.89%
5年トータルリターン(年率):13.36%
iシェアーズMSCI ACWI ETFは「MSCI All Country World Index」(MSCI ACWI)という指数との連動を目指すETFです。MSCI ACWIは先進国23カ国と新興国24カ国の大型株で構成されており、世界株式市場の時価総額の約85%をカバーしています。
2、米国テックコース
Vポイントが米国の情報技術系の企業の株価と連動するコースです。Vポイントサイトではアップル・マイクロソフト・IBM・エヌビディアなどに投資できると紹介されています。具体的には「バンガード情報技術ETF」(Vanguard Info Tech ETF)というETFの価格とVポイントが連動します。
・バンガード情報技術ETF(VGT US)
設定日:2004年1月30日
純資産総額:737億ドル
基準価額:525.79ドル
経費率:年0.09%
出来高:64万口
直近配当利回り:0.55%5年
トータルリターン(年率):18.92%
「MSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックス」という指数との連動を目指すETFです。米国の情報技術セクターの大型株・中型株・小型株にまとめて投資するのと同様の効果が期待できます。
3、日本株コース
Vポイントが日本の上場企業の株価と連動するコースです。Vポイントサイトではトヨタ・ソニー・任天堂・リクルートなどに投資できると紹介されています。「NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(1306)」というETFの価格とVポイントが連動します。
・NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信(1306)
設定日:2001年7月13日
純資産総額:21.6兆円
基準価額:2647.5円
経費率:年0.05%
出来高:208万口
直近配当利回り:2.19%
5年トータルリターン(年率):14.42%
TOPIX(東証株価指数)は聞いたことのある方も多いでしょう。東京証券取引所(東証)に上場している銘柄で構成された指数です。NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信は名前のとおり、TOPIXとの連動を目指すETFです。
Vポイントの追加方法「スポット追加」と「自動追加」
Vポイント運用を利用するには、Vポイントを追加する必要があります。Vポイントの追加方法には、スポット追加と自動追加の2つの方法があります。
<スポット追加と自動追加>

スポット追加は、自分の好きなタイミングに手動でポイントを運用に追加する方法。100ポイントから1ポイント単位で追加できます。ただし、追加申込みポイント数の1%相当(税込)のポイントが手数料としてかかります。たとえば、100ポイントをスポット追加したとしたら、1ポイントが手数料(ポイント)としてかかります。
自動追加は、毎月◯日と自分で設定した日にちに、決めたポイントが自動的に運用に追加される方法。Vポイントの積立投資というとわかりやすいでしょう。自動追加の場合、1ポイント以上1ポイント単位で追加でき、手数料もかかりません。
自動追加の操作そのものは簡単です。ポイントを追加したいコースとポイント数、自動追加する日を選択するだけでポイント運用の準備が完了。あとは毎月指定した日に指定されたポイントが追加され、ポイント運用で連動するようになります。
<ポイント自動追加の設定画面>

「Vポイント投資」もある
Vポイントには「Vポイント運用」ができるまでポイント運用のサービスはなかったのですが、「Vポイント投資」のサービスはありました。
Vポイント投資は、SBI証券の口座で株や投資信託などを購入するときに、Vポイントをお金の代わりに使えるというサービスです。
Vポイント投資とVポイント運用の主な違いは、次のとおりです。
<Vポイント投資とVポイント運用>

Vポイント投資は、お金の代わりにVポイントを使えるというだけで、あとは実際の投資と同じです。証券口座の開設も必要ですし、新NISAも利用できます。利益を引き出すときにはポイントではなくお金で引き出すことができます。Vポイント運用よりも本格的といえるでしょう。
Vポイント以外の共通ポイントでも「ポイント投資」のサービスは用意されています。
【ポイント投資のできる主な証券会社と利用できるポイント】
- SBI証券…Vポイント・Pontaポイント
- 楽天証券…楽天ポイント
- マネックス証券…dポイント・マネックスポイント(新NISAは成長投資枠のみ)
- auカブコム証券…Pontaポイント
- PayPay証券…PayPayポイント
おすすめはやっぱり「ポイント投資」
Vポイント運用に限らず、ポイント運用のサービスは、これまで投資をしたことがない人が投資の雰囲気をつかむのには向いています。
Vポイント運用を利用すれば、手間なく簡単にVポイントを運用することができますし、ポイントがETFに連動して増減する様子から値動きのイメージがわかるからです。もし値下がりしてしまっても、減るのはポイントだけで、自分のお金が減ることもありません。
しかし筆者は、ポイント運用よりもポイント投資を利用したほうがいいと考えています。その理由は、大きく3つあります。
●理由1:ポイントだけでは少なすぎて資産形成が進まないから
ポイント運用では、普段の買い物などで貯まったポイントを利用して投資します。各ポイントの還元率はサービスやキャンペーンなどにより異なりますが、通常0.5%〜1%程度。200円で1ポイント、100円で1ポイントですので、毎月貯まるポイント数は数百ポイント程度です。そのポイントをたとえ全額ポイント運用に回したとしても、投資の元手は毎月数百円分です。ポイント運用だけでまとまった金額を投資するのは難しいでしょう。
その点ポイント投資であれば、自分のお金を出すことができるので、資産形成のスピードも上がるでしょう。
●理由2:「自分のお金」という感覚が薄れ、リスクの高い投資をしがちだから
ポイント運用では、ポイントが減ることこそありますが、自分のお金が減ることはありません。これはメリットではあるのですが、デメリットでもあります。「どうせなくなってもいいポイントだから」と、自分のリスク許容度(「自分が損にどのくらい耐えられるか」の度合い)を気にしない人が多いようなのです。適当に投資してしまえば、ポイントが減ってしまう可能性も高まりますし、何より投資の練習にもなりません。
ポイント投資であれば、一部身銭を切っているのですから、無理な投資をする人も減るでしょう。少なくとも5000円、あるいは1万円といった、多少大きな金額を毎月投資するようにして、それにポイントを上乗せして投資するようにするのがおすすめです。
●理由3:投資できる商品が限られているから
Vポイント運用の運用先は現状3コースですし、他のポイント運用も投資できる商品が限られています。もちろん、選択肢が少ないことでわかりやすいという側面もあるのですが、より自分に合った投資先は他にあるかもしれません。それを探せるという意味でも、さまざまな投資先に投資できるポイント投資のほうがよいでしょう。
Vポイント運用の画面右上にも「投資する」というアイコンがあります。選択すると「ポイント運用を体験したあなたにVポイント投資がおすすめ」といった案内が表示されます。Vポイント運用は投資への入り口で、Vポイント運用からVポイント投資に移行してほしいという考えが見て取れます。
Vポイント投資のようなポイント投資サービスを利用すれば、自分のお金も投資に回しながら、より元手を増やして取り組むことができ、ポイントを活用しながらお金を増やしていくことができるでしょう。
「投資は怖い」と思うならばまずはポイント運用からするのもよいですが、将来的にはポイント投資を活用するのがベターでしょう。
頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に創業し現職。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、TBS「情報7daysニュースキャスター」などテレビ・ラジオ出演多数。主な著書に『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)など、著書累計180万部。YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。日本年金学会会員。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)
X(旧Twitter)→ @yorifujitaiki