不動産投資の資産価値と出口戦略|教育費・老後資金対策
40代・50代は教育費と老後資金の板挟みで、不動産投資の資産価値がどう推移しているのか気になる時期です。東京23区では地価上昇・建築費高騰・底堅い賃貸需要を背景に、既存物件の資産価値は高い水準を維持しています。一方で子どもの進学時期には出費がかさみ、これまで積み上げてきた資産をどう活かすかという判断が問われます。本記事では、資産価値が上がる仕組みと、売却や繰り上げ返済といった出口戦略の選択肢を整理し、長期的な資産形成の判断軸を提示します。
不動産投資を続けるべき?40代・50代が持つアドバンテージとは
40代、50代の家計における支出は生活費を始め、住居費や医療費、教育費など多岐に渡ります。給与収入なども高い時期ですが、それに伴い支出も多くなりがちです。昨今の物価高を背景に毎月の収入の割には生活に楽ではないと感じる方も多いのではないでしょうか。
特に教育費の負担が増えると「子供の進路を妥協させたくない」と出費の見直しをして「このまま不動産投資を続けてもいいのだろうか」と疑問に思う事もあるかもしれません。
この時期は足元の比較的大きい支出である教育費と老後の経済的な生活設計という二つの要素の板挟みになりがちです。
ここで再認識したいのは、「既に不動産投資を行っている」というアドバンテージです。
このアドバンテージの中には経済的な意味と投資不動産を所有しているという「人生における心の安心感」が含まれます。
不動産投資の資産価値はなぜ上がっている?3つの要因を解説
既に投資用マンションを所有している方は、ご自身の物件の「現在の資産価値」がどうなっているか、大いに気になるところだと思います。結論から言えば、現在の不動産市場において、都心部のワンルームマンションの資産価値は高く推移しています。その背景には、大きく分けて「地価の上昇」「建築資材の高騰」「底堅い賃貸需要」という3つの要因があります。
まず、資産価値を押し上げる根本的な要因である「地価の上昇」です。国土交通省が発表する近年の地価公示などを見ても、東京圏の住宅地および商業地の地価は長年にわたり連続して上昇傾向にあります。特に東京23区においては、都心部や大規模な再開発が進むエリア、新駅の開業や乗り入れ路線の拡大などで利便性が向上したエリアを中心に、前年比で5%〜10%を超えるような高い上昇率を示す地点も珍しくありません。このように、マンションを支える「土地そのものの価値」が明確に底上げされているのが現状です。
それに加えて、世界的なインフレや人手不足を背景に、建築資材や人件費が著しく「高騰」しています。前述した地価の上昇にこの建築コストの高騰が掛け合わさることで、例えば10年前に建てられた物件と全く同じスペックのマンションを現在新築しようとすると、当時とは比較にならないほどの高い費用がかかります。この新築価格の高騰に牽引される形で、過去に建てられた既存物件の「上物(建物)」の価値も相対的に引き上げられ、中古マンション市場全体の価格上昇(=ご所有物件の資産価値アップ)に直結しているのです。
さらに、マンションの資産価値を収益還元法(家賃収入から価値を算出する方法)の観点から見ると、3つ目の要因である「賃貸需要」も極めて重要なポイントです。東京や首都圏の都心部では就業人口が多く、若い世代の単身者需要や法人需要が高止まりしています。
実際に2025年の「国勢調査」から東京都の人口動向を見てみると、全国47都道府県の中で東京都の人口が最も多く、全国の約10%を占めています。さらに、日本全体の人口が減少している中で、人口が増加している都道府県は東京都と沖縄県の2都県のみとなりました。
総務省の「住民基本台帳人口移動報告2025年」から人口の移動状況を見ても、東京都は転入者数が転出者より多い「転入超過」となりました。2025年に転入超過となった都道府県はわずか7都県であり、東京都の転入超過人口は全国で最も多い約6万5千人となっています。
このように東京都及びその周辺エリアの賃貸需要は底堅く、今後も資産価値・将来性が高いと言えます。日本の人口は増加しているエリアと減少していくエリアの二極化が進み、今後は投資マンションの資産価値の「地域格差」も大きくなっていく可能性もあります。
不動産投資はなぜ「時間運用投資」といえるのか
これまで不動産投資を続けてこられたオーナーの方は、既にある程度の運用実績があります。不動産投資のローンは、返済済期間にもよりますが既に元金を多く返済しており、気づかないうちに「資産形成」ができている訳です。
本来、マンションという数千万円の資産を手に入れるためには、毎月10万円前後の投資ローンを返済する必要がありますが、不動産投資の「家賃収入でローンを返済する」というスキームのおかげで、月々わずかの出費で資産形成ができます。つまり「時間運用投資」という見方もできます。
これまで着実に運用を重ねてきた物件は、ローン返済が進むにつれて「いざという時の資産」として育っており、必要になれば「売却して現金化(キャピタルゲイン)」できる、まさに強力な貯金箱と言えます。
特に複数件所有している場合、その強みはさらに大きくなります。例えば「1件は途中で売却して教育資金に充て、もう1件は長期保有して自身の老後資金にする」といった柔軟な戦略を立てることも可能です。
人生において出費が最も増えるこの時期を、こうした資産の強みを活かして乗り切ることで、不動産投資をより成功へと導くことが可能になると言えます。
教育費と老後資金、不動産投資の出口戦略はどう考える?
しかし入学する大学によっては教育費の出費も大きくなり家計の見直しも必須となってきます。ここでお子様の学校別に、対策を考えてみたいと思います。
国公立大学進学の場合、不動産投資はどう継続する?
国立大学の費用は標準で入学金が約28万円、授業料は年間約53万円、都立大学の場合は都内在住の場合には所得制限なしで授業料が全額免除となります。このように国公立大学は私立大学と比べて負担も低いと言えます。また自宅通いの場合は仕送り等の負担も少なくなります。
このように教育費の負担が少ない場合は無理なく不動産投資の継続も可能となります。
教育費の軽減分をさらに不動産投資に振り分け、新たに1戸を追加購入するのもご自分の将来のためだけでなく、相続の場合にも有利となるのではないでしょうか。
私立大学・医学部・海外留学、教育費が高い場合の出口戦略は?
私立大学に進学する場合、文系学部で初年度納付金が約118万9000円(4年間の総額で約407万9000円)、理系学部では初年度納付金が約156万6300円(4年間の総額で約551万2000円)と、国公立大学に比べて大きな負担となります。理系は文系よりも学費総額が約140万円高く、さらに大学院進学(6年間)となるケースも多いため総額は膨らみます。また、医学部への進学や、年間授業料だけで数千ドル~数万ドル(例えばハーバード大やオックスフォード大で約530万~810万円)がかかる海外留学を目指す場合は、渡航費や現地での生活費も含めて教育費が格段に多くかかります。
現在、中古マンション価格の高騰に伴い、ローン返済が進んで元金がある程度減っていれば、売却時の収支をプラスへ導けるケースが増えてきています。
つまりこれまでのマンション投資のおかげで教育費の負担が軽減される訳です。当然の事ながら東京及び東京近郊の交通利便性・生活利便性の高い立地など、ある程度の条件が前提となります(※)。
子どもの独立後、不動産投資の繰り上げ返済はどう進める?
子供が大学を卒業すると教育費の負担がなくなります。子供が就職して家に多少でも生活費を入れてくれる場合は、家計の収支もプラスに転じる訳です。
この段階で手元に余裕資金があれば、繰り上げ返済をする方法もあります。繰り上げ返済により元金が減った分、利息も少なくなりますので、返済額を減らす方法と返済期間を短くする方法もあります。
定年までにローン返済を終えるようにしたり、あるいは毎月の返済額を家賃収入だけで返済ができるレベルにして、さらに繰り上げ返済の額によっては毎月のキャッシュフローを黒字にする事も可能です。
<文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」>
不動産投資で失敗しないために、どこから買うべきか
以上述べてきたように40代・50代は教育費をはじめ様々な出費がかさむ一方で、同時に自分たちの老後資金もしっかりと蓄えていかなければならない重要な時期です。
先ほど述べた海外留学など多額の教育費がかかるケースでは、一般の家庭ではローンを組んだり、生活資金や老後資金を取り崩す事になる場合も多いと思います。
但し、このようにいざという時の選択肢を持てるのは、これまで「いかに安定して運用できているか」が前提となります。先ほども述べたように、長期にわたり高い入居率を維持し、安定した家賃収入を得るためにはある程度の条件が必要です。立地や管理体制などの条件が良くない物件は、空室や家賃下落のリスクが高まり安定運用が難しくなるばかりか、いざという時の資産価値まで目減りしてしまう可能性もあります。
不動産投資は30年、35年と続く「超・長期」のプロジェクトであるため、「購入後の管理・運用のサポート体制がしっかりしている会社を選ぶこと」が最終的な勝敗を分けます。立地の面で「どこに買うか」も重要ですが、会社を選ぶ事、つまり「どこから買うか」も重要となります。
会社選びの条件として、優良な物件を供給している事、供給実績が多く経験豊富である事、建物管理や賃貸管理が一体となってバックアップしてくれる事、アフターサポートの安心感がある事、DXを活用した確実な管理体制がある事、などが挙げられます。
こういう会社から購入する事で、「この会社と長く付き合うことが老後の安心に直結する」という事につながります。
※投資マンションを売却した際の売却益を補償するものではありません
※マンションの資産価値は物件の条件によって大きく異なります
参考リンク:
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執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役
マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。