政策金利1%時代の到来。過去の金利変遷から読み解く、不動産投資が今こそ強い理由とは
「金利が上がった」というニュースに、不動産投資への不安が頭をよぎった人もいるのではないだろうか。2026年6月には政策金利が1%に引き上げられ、日経平均株価は7万円台の史上最高値をつけた。日本経済は長く続いたデフレ・低金利の時代から、金利のある時代へと移りつつある。だが金利上昇の背景には「良いインフレ」と「悪いインフレ」の違いがあり、理解なしに一喜一憂すると判断を誤りやすい。本記事では政策金利の役割と過去の変遷、円安との関係を整理し、金利上昇局面でも資産価値を保ちやすいマンションの条件を紹介する。
日銀の政策金利とは?経済とどう関係している?
今回引き上げとなったのは日銀による政策金利です。日銀は日本の中央銀行で紙幣の発行や経済をコントロールする役割などがあります。日銀の「政策金利」は多くの金融機関の金利の基準となり経済をコントロールするのに重要な役割を持ちます。景気が低迷している時(デフレの時)は政策金利を引き下げて、企業や個人が資金を借りやすいようにして景気向上を図ります。逆に景気が過熱している時(インフレの時)は政策金利を引き上げる事で資金の借り入れを抑制する効果があります。また物価が大きく上昇している時にも金利を引き上げる事で物価を抑える効果もあります。
金利は2025年12月に0.75%に引き上げられ、さらに今回も1%に引き上げられました。
政策金利はどう推移してきた?オイルショックからバブル崩壊までの変遷
過去には大きな経済の変動があった時に政策金利の動きもありました。
かつて1970年代には低金利とインフレ、さらに「オイルショック」が加わり「狂乱物価」と言われる大きな物価上昇がありました。この時には日銀は金利を大きく引き上げ、景気の減速につながりました。この時の政策金利(当時は公定歩合と呼ばれていました)は何と9%でした。
その後1980年代には、ドル高を是正するために大規模な協調的な為替介入をする「プラザ合意」がなされ日本でも低金利政策がとられました。しかしこの低金利による潤沢な資金が不動産などに流入し「バブル経済」発生の要因となりました。1990年にはバブル抑制のために政策金利も6%程度に引き上げられたためバブル経済は収束し、その後はデフレの時代が続くことになります。
バブル崩壊後のデフレは長く続き、近年の新型コロナ発生などもあり低金利(金融緩和)政策が長い期間続くことになります。
マイナス金利はなぜ続いた?金融緩和が終わらない理由
その後も金融緩和が進み、「ゼロ金利」や日銀に資金を預けると逆に利息がかかる「マイナス金利」など異次元の金融緩和が続けられました。
しかし近年は株価の上昇やインフレが続き、日本経済が徐々に変わってきています。
消費者物価指数は2021年9月から約50ヵ月以上連続で上昇となりました。2025年度の消費者物価指数も前年比2.7%の上昇となり4年連続の上昇となりました。
日銀では金融緩和終了の条件として継続的な2%の物価上昇を掲げていますが、金融緩和は依然継続されています。これはインフレには二つの種類があるからです。
良いインフレと悪いインフレの違いとは?日本経済はどちらに近い?
インフレには「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。良いインフレとは物価が上がり企業の売上も伸び、そして賃金も上昇し経済の好循環が生まれる事です。悪いインフレは賃金が上昇せずに、輸入物価など原材料の上昇から国内物価が上昇するケース(コストプッシュ型のインフレ)です。
日本では給与水準も上昇してきていますが物価上昇幅はそれ以上で、実質賃金は概ねマイナスが続いています。株価も上昇していますが一部のAIや半導体などの銘柄の値上がりが大きく、市場全体が上昇していると言い難い状況です。
つまり株価や物価だけが上昇し、日本経済の本格的な回復には至っていないと考えられる訳です。このため、金利は上昇しつつあるもののまだまだ低い水準となっていると言えます。
政策金利と円安はどう関係している?不動産価格への影響は
金利は為替の調整にも利用されます。現在為替は円安ドル高が続いていますが、円安は輸出企業などには恩恵がある一方、輸入物価の上昇から国内のインフレの要因となります。また円安により海外から日本の不動産を購入しやすくなり、都心部のタワーマンションなども外国人が購入するケースも多くなっています。
日本で政策金利を多少上げたとしても米国を始めとする諸外国の政策金利も高止まりしており、その金利差は縮小にいたらず、今後も円安基調に大きな変化はないと考えられます。
世界的にも金利上昇が続く中で6月11日には欧州でも政策金利が0.25%引き上げとなりました。こうした中で今回の日銀の利上げは円安に対する効果は限定的とも考えられます。
政策金利は今後どこまで上がる?ターミナルレートの予想
米国とイランの紛争も終息の見込みですが、依然として中東やウクライナ問題は存在し今後も世界的なインフレは続くと考えられます。世界的に金利上昇圧力は高くなってきており、日本でも円安対策などもありその傾向は続くと考えられます。
最終的に景気に悪い影響を及ぼさない金利、いわゆるターミナルレートとしては諸説ありますが1.5%から2%程度であると予想されています。
但し急激な金利上昇は景気の減速につながる事もあり、そのスピードはそれほど急激ではないと考えられます。
金利上昇で投資用ローンはどうなる?5年ルール・1.25倍ルールとは
ゼロ金利が続いた平成の時代と異なり、令和は金利のある時代となってきた訳です。政策金利が引き上げられると不動産投資ローンの変動型金利も徐々に引き上げられます。但し既にローンを組んでいる方のうち、5年ルールや1.25倍ルールの適用がある金融機関を利用している場合は、金利が上昇しても5年間は返済額が変わらず、その後の上昇も1.25倍が限度となります。ただし、投資用ローンでは金融機関によってこれらが適用されず、金利上昇が即座に返済額に反映されるケースもあるため注意が必要です。
今回政策金利が引き上げとなりましたが、歴史的に見ると金利はまだ低い水準にあると言えます。早くローンを組んだ方がそれだけ低金利の恩恵を享受できるのではないでしょうか。
金利上昇に強いマンションとは?資産価値を保つ3つの条件
給与水準の上昇も進んできており、また企業の家賃補助などの影響もあり好立地のワンルームマンションの賃料も上昇してきています。今後も好立地のマンションは景気の上昇と共に賃料も上昇すると予想されます。つまりある程度のローン返済額の上昇は長期的には賃料が上昇する事で吸収されると考えられます。
但し賃料が上昇しやすいマンションとして
- 好立地(駅からある程度近い、商業施設が近いなど生活利便性が高い)
- 高品質(構造・スペック、セキュリティ、外観、居住性、良好な管理など)
- 将来性(再開発や鉄道のアクセスの向上などが見込める)
などの条件が求められると考えられます。
こうしたマンションは景気の上昇と共に資産価値・賃料も上昇していきますので、まさにインフレにも強く人生100年時代にもふさわしい資産となるのではないでしょうか。
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執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役
マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。 特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。