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基準地価の上昇が続く東京都心の街並みと再開発エリアのイメージ

2026年基準地価から読む東京の地価動向と不動産投資の視点

地価の動きは、不動産業界だけでなく私たちの生活にも広く影響します。2026年の基準地価では、全国平均で全用途・住宅地・商業地の地価が5年連続で上昇し、東京都の平均は住宅地で5.8%、商業地で11.4%の上昇となりました。上昇は都心だけでなく、浅草などの下町エリアや再開発が進む中野エリアにも広がっています。大切なのは、上昇率の数字だけでなく、その背景にある人口・インバウンド・再開発といった理由を読み解くこと。この記事では、国土交通省・東京都のデータから東京の地価動向を整理し、不動産投資を考える際に見ておきたい視点を紹介します。

基準地価とは?公示地価との違いと、不動産投資に関係する理由

基準地価は公示地価に並んで代表的な地価指標の一つです。

公示地価が1月1日時点の地価であるのに対して、基準地価は7月1日現在の地価となります。土地や不動産の取引の際の指標となりますが、日本経済や都市の経済的な状況とも連動しており、重要な経済指標ともなっています。また不動産価格・住宅価格にも影響を与えますので、不動産投資を考えている方や既にお持ちの方にも関係の深い統計ではないでしょうか。

基準地価2026の全国動向は?5年連続上昇と二極化

全国的な地価の上昇は近年持続性を帯びてきましたが、ここに来て企業業績の向上や会社員の給与所得の伸びも相まってインフレの状況がより鮮明になりつつあります。

このような中で全国の主要都市の地価の上昇も続いているようです。

2026年の基準地価では、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地の地価は5年連続の上昇となりました。東京・大阪・名古屋などの三大都市圏も全用途・住宅地・商業地ともに上昇となりました。また地方圏(地方四市:札幌市、仙台市、広島市、福岡市の4市)も住宅地・商業地ともに地価は上昇となりました。

全国的に地価は上昇基調となり、東京圏・大阪圏などの大都市圏の地価の上昇率が高くなっている事が分かります。地価はデフレ時の調整局面からほぼ脱出した感が強くなっています。ただし地価の大きく上昇している地域とそうでない地域の二極化も進んでいます。

圏域別・用途別対前年平均変動率

住宅地商業地
2025年2026年2025年2026年
東京圏3.9%4.0%8.7%8.9%
大阪圏2.2%2.3%6.4%6.8%
名古屋圏1.7%1.5%2.8%2.7%
三大都市圏3.2%3.2%7.2%7.4%
地方圏0.1%0.1%1.0%0.9%
地方圏
(地方四市)
4.1%2.9%7.3%6.0%
地方圏
(その他)
0.0%0.0%0.6%0.7%
全国1.0%1.0%2.8%2.9%

参照:国土交通省「令和8年都道府県地価調査」

地方圏:三大都市圏を除く地域
地方圏(地方四市):札幌市、仙台市、広島市、福岡市の4市。 
地方圏(その他):地方圏の地方四市を除いた市町村の区域

基準地価の上昇率ランキング(全国)は?富良野・白馬村・浅草が上位

住宅地の上昇率は?富良野(32.0%)と白馬村が上位

全国の住宅地で最も地価が上昇した地点は北海道の富良野で、前年比32.0%の上昇となりました。富良野は昔テレビドラマで一躍人気となった地であり、今でも多くの観光客が訪れます。

2位と3位は長野県の白馬村の地点となりました。北アルプスにある山岳地帯でスキー場なども多いリゾート地です。1998年には長野オリンピックの会場ともなりました。

いずれも地価上昇率が30%を超えており、インバウンドの影響も大きいと考えられます。

2026年基準地価 上昇率順位表(全国)<住宅地>

順位都道府県基準地の所在地 『 』は住居表示変動率
1北海道富良野市北の峰町1981番62『北の峰町11-21』32.0%
2長野県北安曇郡白馬村大字北城字大道上5921番31.3%
3長野県北安曇郡白馬村大字北城12319番131.1%

参照:国土交通省「令和8年都道府県地価調査」

商業地の上昇率は?白馬村・野沢温泉村・浅草が上位

全国の商業地の地価上昇率を見てみると、1位は住宅地にもランクインした長野県の白馬村の地点となりました。2位も長野県で野沢温泉の地点です。温泉地として、またスキーリゾートとしても有名なエリアです。3位は東京の浅草の地点となりました。浅草は過去にも地価が大きく上昇している東京を代表する観光地です。

このようにインバウンドが多く訪れるエリアは、今後も多くのホテルや商業施設の進出などにより地価は堅調に推移する可能性があると見ます。

2026年基準地価 上昇率順位表(全国)<商業地>

順位都道府県基準地の所在地 『 』は住居表示変動率
1長野県北安曇郡白馬村大字北城字平河6366番2外35.6%
2長野県下高井郡野沢温泉村大字豊郷字湯沢9577番2外27.0%
3東京都台東区浅草一丁目17番9 『浅草1-29-6』26.9%

参照:国土交通省「令和8年都道府県地価調査」

東京都の基準地価は?区部都心部で住宅地13.3%・商業地14.6%上昇

日本のビジネスの中心でもあり、経済・人口規模の大きい東京では地価の上昇が続いているようです。

2026年の東京都の地価動向を見ると、東京都平均で住宅地が5.8%、商業地は11.4%の上昇となりました。東京都区部では住宅地で8.7%、商業地で13.3%と高い上昇率となり、さらに区部都心部(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区)では住宅地で13.3%、商業地で14.6%と都心部程地価上昇率が高くなっています。

また多摩地区でも住宅地で3.5%、商業地で5.6%と地価上昇が続いています。

このように東京圏においては特にマンションが多く建設される商業地においては、都心都区部のみならず周辺部へのマンション供給の増加と共に地価上昇の範囲も広がりつつある事が分かります。

東京都の地域別対前年平均変動率

住宅地商業地
2025年2026年2025年2026年
東京都5.6%5.8%11.2%11.4%
東京都区部8.3%8.7%13.2%13.3%
区部都心部12.7%13.3%15.3%14.6%
区部南西部7.7%7.5%11.3%12.0%
区部北東部7.0%8.0%11.2%12.4%
多摩地域3.5%3.5%5.3%5.6%

参照:国土交通省「令和8年都道府県地価調査」

区部都心部:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区
区部南西部:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区
区部北東部:墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区

東京都区部の基準地価上昇率は?住宅地は港区、商業地は台東区が1位

次に東京都区部の地価を区別に見てみましょう。

住宅地は港区・台東区・文京区の順

東京都区部の住宅地は全ての区で上昇となりました。地価上昇率が10%以上となったのは14区となり、すべての区で5%以上の上昇となるなど地価が大きく上昇しています。

地価上昇率トップは港区となりました。港区には高級住宅街も多く「ブランドエリア」と言えます。億ションを超える「スーパー億ション」などの高額マンションの多く建設されています。

2位は浅草などのある台東区です。浅草など歴史のあるエリアであり都心への利便性も高い事から住宅地としての人気も高まっています。

3位は文京区で、高級住宅であり学校の多い文教地区としても知られています。都心へも近く住宅地としての人気も高いエリアです。

このように都心エリアの地価が上昇している背景には、高額所得者の増加や株価上昇などによる資産効果などもその要因として考えられます。

<2026年基準地価> 地価上昇率ランキング <東京都区部・住宅地>

順位区2026年
1港区16.3%
2台東区15.6%
3文京区13.8%

参照:国土交通省「令和8年都道府県地価調査」

商業地は台東区・北区・荒川区の順

東京都区部の商業の地価上昇も続いており、23区中19区が10%以上の上昇となりました。地価上昇率の最も低い足立区でも7.2%の上昇となっています。

商業地トップは台東区となりました。浅草などの観光地の地価の上昇の影響と考えられます。区の平均地価上昇率は19.6%と、20%近く上昇しています。

同率2位は北区と荒川区(いずれも16.9%)で、都心周辺ではあっても都心にアクセスしやすいエリアの地価が上昇しています。

上位3位を見てみるといずれも東京の下町エリアに該当しますが、こうしたエリアの商業地は近年インバウンド需要の他、事業用不動産や投資用不動産としての魅力もますます高まっているエリアで、そのような事も地価上昇に影響を与えていると考えます。

<2026年基準地価> 地価上昇率ランキング <東京都区部・商業地>

順位区2026年
1台東区19.6%
2北区16.9%
2荒川区16.9%

参照:国土交通省「令和8年都道府県地価調査」

東京都区部で基準地価が最も高い地点は?住宅地は赤坂、商業地は銀座

東京の地価は日本一高いとも言われていますが、最も高いのはどこでしょうか。

住宅地の最高価格は赤坂一丁目(750万円/㎡)

住宅地の地価では赤坂一丁目の地点がトップとなりました。アークヒルズなど高層オフィスビルが建ち並ぶビジネス街ですが、通りを入ると住宅地も点在しています。周辺の再開発により利便性も高くなり地価も大きく上昇しています。

次いで千代田区の六番町、三番町などのいわゆる「番町」や麹町などが続いています。江戸時代から続く住宅地であり、こちらも「ブランドエリア」と言えます。皇居にも近い立地で大使館や企業なども多いエリアです。

都心の高級住宅地はそのエリアも限定的ですので、希少性が高く、資産価値が維持されやすいと考えられます。

令和8年地価調査 東京都区部 基準地価格高順位一覧表(東京23区・住宅地)

順位区基準地の所在 「 」は住居表示2026年
基準地価格
1港「赤坂1-14-11」750万円/㎡
2千代田六番町6番1外570万円/㎡
3千代田三番町9番4453万円/㎡
4千代田麹町二丁目10番4外361万円/㎡
5港「六本木5-13-1」352万円/㎡

参照:東京都「令和8年東京都基準地価格」

商業地は銀座が21年連続トップ(5,250万円/㎡)

商業地では中央区の銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」の地点が、1㎡当たり5,250万円で21年連続トップとなりました。

2位も銀座(6丁目)の「銀座尾張町TOWER」の地点です。

銀座はブランドショップが集まるブランドストリートとして知られ、ショッピングに訪れるインバウンドも多く、店舗需要も底堅いものとなっています。銀座は日本を代表する一等地であり、資産価値が維持されやすいと考えられます。ただし、地価は経済環境によって変動します。

銀座の地価が高い背景には、店舗としての高い収益性があります。1階路面店などの坪賃料(月額)は数十万円〜100万円を超えるケースもあるなど、店舗賃料相場でも日本トップクラスです。つまり銀座は取り扱う商品だけでなく、地価・賃料共に日本最高水準であるということです。

令和8年地価調査 東京都区部 基準地価格高順位一覧表(東京23区・商業地)

順位区基準地の所在 「 」は住居表示2026年
基準地価格
1中央「銀座2-6-7」5,250万円/㎡
2中央「銀座6-8-3」3,700万円/㎡
3港北青山三丁目33番23,260万円/㎡
4千代田「丸の内3-3-1」2,820万円/㎡
5千代田「大手町1-8-1」2,690万円/㎡

参照:東京都「令和8年東京都基準地価格」

東京都区部で基準地価の上昇率が高い地点は?北品川・芝浦・浅草・中野

次に地価上昇率を見てみましょう。

住宅地の上昇率トップは品川区北品川

東京都区部の住宅で地価上昇率が最も高かったのは品川区の「北品川5丁目」の地点です。ゲートシティ大崎の北側に位置する地点で周辺は高級マンションや大使館などが建ち並びます。大崎駅北側は大規模な再開発によりオフィスビルやタワマンが多く建設されています。山手線内側で品川にも行きやすいエリアです。

2位は芝浦4丁目の地点です。田町と高輪ゲートウェイの間の湾岸エリアで、タワマンやオフィスビルが建ち並ぶエリアです。高輪ゲートウェイシティの開業により利便性が高まり住宅需要も増加していると考えられます。

3位は西麻布3丁目の地点です。西麻布の交差点に近く六本木と広尾の間位の位置にあります。住宅地ですが周辺に大使館なども多くあります。六本木ヒルズも徒歩圏となり、また西麻布3丁目ではタワーマンションの建設も進んでいます。

麻布・青山・赤坂などは「スリーA」とも呼ばれる高級ブランドエリアです。六本木では大規模な再開発も計画されており、このエリアの地価もますます上昇する可能性もあります。

令和8年地価調査 基準地上昇率順位一覧表(住宅地)

順位基準地の所在「住居表示」2026年
地価上昇率
1品川区 「北品川5-9-28」18.8%
2港区 「芝浦4-5-16」18.7%
3港区 「西麻布3-15-8」17.4%
4港区 「六本木5-13-1」17.3%
5江東区 「有明1-3-17」17.0%

参照:東京都「令和8年東京都基準地価格」

商業地は浅草が1位、中野が同率2位

商業地では浅草1丁目の地点が1位となり、上位5位の中に浅草及び西浅草の地点が3ヵ所ランクインしました。

同率2位は中野5丁目の地点です。地価の大きな上昇に驚きました。中野駅周辺は大規模な再開発が進み、中野駅には「アトレ中野」が2026年12月に開業する予定で、新たな改札口や歩行者デッキなども利用開始となる予定です。中野サンプラザの建替え計画は中断していますが、中央線沿線の中でも最も大きく変わってきたエリアです。駅近くのタワーマンションも価格が「スーパー億ション」となるなど不動産価格も上昇しています。今後も再開発が進みますので、地価の上昇も続くと思われます。

令和8年地価調査 基準地上昇率順位一覧表(商業地)

順位基準地の所在「住居表示」2026年
地価上昇率
1台東区 「浅草1-29-6」26.9%
2台東区 「西浅草2-13-10」25.0%
2中野区 「中野5-67-5」25.0%
4台東区 「浅草5-37-6」24.1%
5新宿区 「西早稲田2-20-5」23.8%

参照:東京都「令和8年東京都基準地価格」

基準地価の上昇は投資マンション市場に何を意味する?地価の見方

インフレが続く中で、日本経済及び不動産市況も大きな転換期に差し掛かってきています。今回の基準地価では広範囲において地価の上昇が改めて確認されましたが、中長期的に見れば地価においても「優勝劣敗」がより鮮明になる時代が再来すると考えます。つまり地価が上昇するエリアはそれなりの裏付けや理由が存在する訳です。転入人口、インバウンド、新線・再開発、公共投資計画などその場所に住みたい・働きたいという魅力あるエリア・土地は、今後も地価が上昇していくと筆者は考えます。ただし、地価の上昇は物件価格の上昇を意味し、利回りの低下や、金利・建築費の動向によって状況が変わる可能性もあります。

これから不動産投資を考える方は、地価の動きとあわせて、賃料や空室、金利などの条件も確認してみてください。

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地価の上昇には理由があります。賃貸需要や収益の視点とあわせて、次に考えたいテーマをご紹介します。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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