クレジットカードの信用度を守る|やってはいけない4つの使い方
結婚式のご祝儀や新型スマホ、冬のボーナス前の買い物と、秋から冬は高額な支払いが重なりがちです。そんなとき頼りになるクレジットカードですが、後払いができるのはカード会社との間に「信用」があるからこそ。その信用は、滞納だけでなく、すぐの解約や短期間の多重申し込み、キャッシングの多用でも下がる可能性があります。記録は信用情報機関に残り、住宅ローンや不動産投資ローンの審査にも関わります。本記事では、信用を守るためにやってはいけない使い方と更新時の確認点、枚数やクレカ投資の考え方まで、FPの視点で整理します。
クレジットカードが後払いできるのはなぜ?カード会社との信用の仕組み
秋から冬にかけては何かと高額な出費をする可能性が高いイベントが続く傾向があります。例えば9月〜11月にかけてはブライダルシーズンとなっており、結婚式に招待されると、ご祝儀に加えて、衣装代、美容院代などがかさみます。また、例年9月〜10月頃、iPhoneをはじめとする主要スマートフォンの新機種の発表があります。年々スマートフォンも値上がりしており、10万円〜30万円超と高額化しています。加えてこの時期、12月の冬のボーナスを見越して高額な買い物をする方も少なくないのではないでしょうか。
手元に現金がなくてもクレジットカードを利用すれば簡単に買い物ができますし、高額な買い物をすれば、ポイントも多くつきます。
とても便利なクレジットカードですが、そもそもクレジットカードを作る時にはカード会社による入会審査を通過する必要があります。
クレジットカードを利用して店舗で買い物をした場合、カード会社は店舗に対して商品代金を立て替えます。クレジットカードの利用者は後日、カード会社へ商品代金を支払います。
ですから、クレジットカード会社は貸し倒れを防ぐために、クレジットカードの申し込みをした方に支払い能力があるのかどうかを審査する必要があるのです。
つまり、クレジットカードは手元にお金がなくても「後で必ず支払う」という利用者とカード会社の信頼関係に基づいて成り立っているということ。クレジットカードを利用する上では「信用」がとても大切です。
クレジットカードの信用度を下げるNGな使い方とは?4つのパターン
クレジットカードは「信用」が大切ですから、カード会社に信用されなくなるような使い方をすると信用を下げることになります。以下はクレジットカードの信用を下げてしまうNGの使い方です。
●クレジットカードの支払いを滞納する
クレジットカードのNGな使い方のなかでもっともやってはいけないのは、支払いを滞納することです。貸したお金が返ってこないとなればカード会社も困りますし、文書や電話などで催促するにしても、余計な手間とコストがかかってしまいます。カード会社の信用を一気に失うことになります。
クレジットカードの支払いを滞納すると、クレジットカードは利用停止になります。また、支払いが遅れるほど遅延損害金が加算されるため、支払額が増えてしまいます。
1度や2度、クレジットカードの支払いが遅れたという分にはまだ問題ありませんが、滞納が続くと、滞納履歴が信用情報機関に保存されます。支払い遅延の情報は5年、強制解約や破産の情報は5年または10年保存されるため、その間のクレジットカードの審査はもちろん、住宅ローンや不動産投資ローン、車のローン、スマホの買い替えにも影響が出ることも考えられます。
滞納がわかった段階ですぐにカード会社に連絡して必要な手続きをする、あるいは督促状に沿って速やかに支払うようにしましょう。
●作ったクレジットカードをすぐ解約する
作ったクレジットカードをすぐ解約すると、次からは同じ会社でクレジットカードを作れなくなることがあります。
クレジットカードの新規作成時には、大幅なポイント還元やキャッシュバック、プレゼントなどの特典がよくあります。クレジットカードをすぐに解約すると、カード会社に「ポイントやプレゼント狙いだった」と思われてしまう可能性があるのです。それに、クレジットカード会社からすると、クレジットカードの発行コストも無駄になってしまうのですから、「次からはお断り」としたくなるのもわかります。
作成したクレジットカードは、最低でも1年間は使ったり、保有したりしてから解約しましょう。
●短期間に多くのクレジットカードを申し込む
1〜2か月ほどの短期間で複数のクレジットカードを申し込む「多重申し込み」をすると、信用力が下がり、クレジットカードの審査に通らなくなることがあります。
クレジットカードの申し込みの記録は、クレジットやローンの契約・申し込みの情報を管理する「信用情報機関」に6か月間保管されます。カード会社は、クレジットカードの審査の際に信用情報機関の情報を参照します。カード会社はここで、多重申し込みに気づきます。「たくさんクレジットカードを申し込むということは、返せないほどのお金を借りたいのではないか」カード会社がそう警戒することで、審査に通らなくなるのです。
新たにクレジットカードを申し込むことがあれば、最低でも6か月は時間をあけてからにしたほうがよいでしょう。
●キャッシング枠をたくさん利用する
クレジットカードには、お金を借りられるキャッシング枠があります。キャッシング枠を利用すればカード会社から簡単にお金を借りられますが、キャッシングが続くと、カード会社に「いつもお金が足りない人」と思われてしまいます。また、キャッシング枠に設定されている金利は高いので、お金が貯まらない原因にもなります。たとえ借りられるとしても、安易にお金を借りてはいけません。
このような信用度を下げる使い方をしていると、手持ちのクレジットカードを使えなくなるだけでなく、住宅ローンや不動産投資ローンなどの審査で借入額の減額や審査に通らないという事態を招いてしまう可能性も高くなります。
有効期限が近づいたら?信用を守るために更新時に確認したい3つのこと
クレジットカードは有効期限が過ぎると利用できなくなります。
クレジットカードの有効期限が近くなると、カード会社から自動的に新しいクレジットカードが郵送で送られてきます。新しいカードが届いたら以下の3つを確認しておきましょう。
●署名欄にサインする
新しいクレジットカードが届いたら、名義の不備やショッピング枠などに変更がないか確認しましょう。そして、カードの裏面の署名欄に油性ペンなどでサインをしましょう。署名をしていないカードの場合、カードの管理義務を怠ったと判断されやすく、盗難や不正使用などのトラブルがあっても被害金額が補償されないケースがあります。
●引き落としの支払いサービスを変更する
クレジットカードが更新されると、有効期限とセキュリティコードが変更されます。
公共料金やサブスク、ショッピングサイトなど、定期的な引き落としを行っている場合にはカード更新時に各サービスへクレジットカード情報を連絡しましょう。有効期限が到来したクレジットカードの情報を更新しないと、決済ができなくなります。
●古いクレジットカードを捨てる
クレジットカードには個人情報がつまっています。名前や会員番号などの個人情報が悪用され、不正な買い物や事件に巻き込まれてしまう恐れがあります。ですから、古いクレジットカードは捨てましょう。
ICチップや磁気ストライプ部分、名前、番号が読み取れないように細かくハサミを入れて処分するようにしましょう。
クレジットカードは何枚持つのがベスト?信用とリスクから考える2枚の目安
クレジットカードを複数持っている方もいると思いますが、クレジットカードをたくさん持っていると、さまざまなリスクがあります。
まず1つめは、不正利用のリスクがあります。とくに、普段使っていないカードの場合、管理やチェックもあまりしないため、不正に利用されても気が付かない恐れもあります。少額の決済であれば、端末にタッチしたり差し込んだりするだけで使える店舗もあるので、なくした場合も危険です。
日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の発生状況」によれば、2025年の不正被害額は510.5億円にも上っています。
2つめは、年会費がかかる可能性があります。カードの年会費は「初年度無料」「年1回以上の買い物があれば無料」という場合が多いため、年会費がかかることを忘れがちです。クレジットカード利用明細を見る機会もなければ、気づかずに何年も払い続けていることが起こりえます。
3つめは、新しくカードを作りにくくなることもあります。カード契約者の与信枠(カードで利用できるお金)の合計(総与信枠)は、カードの枚数が多いほど大きくなります。限界に達するとそれ以上カードを作りにくくなってしまうので注意が必要です。
4つめは、住宅ローンや不動産投資ローンなどの審査にも影響が出る場合があります。分割払いやリボ払いの利用、キャッシングを利用しなくてもキャッシング枠があると、その金額が借入とみなされます。これにより住宅ローンや不動産投資ローンの審査に通りにくくなったり、融資額が少なくなったりすることがあるので注意が必要です。
クレジットカードをたくさん持っていると、上述した4つのリスクだけでなく、家計管理の煩雑さとポイントの貯まりづらさというデメリットもあります。
ですから、クレジットカードは、自分の行動パターンを考え、よく行く店やよく使うサービスでお得に使える「2枚」に絞るのがおすすめです。
クレジットカードには、発行するカード会社によって、交通系、流通系、通信系、銀行系、石油系など、さまざまなジャンルがあります。例えばデパートやスーパーで買い物をするなら対象の店舗で割引の受けられる流通系カード、ネットショッピングをするなら通信系カードという具合に、よく使うシーンを想定して選ぶようにしましょう。
また、ポイント還元率も確認したい点です。なるべく還元率の高いものを選びましょう。その際、カード保有者に付帯する特典もチェック。自分の利用する店が優待店(特約店)になっている場合、さらに還元率が高くなることもあります。保険や空港のラウンジサービスなど、自分の生活に生かせる特典がついていればさらにお得です。
また、2枚クレジットカードを持つ場合、国際ブランドも2枚別々のものにすれば、より利用できる店舗が広がります。1枚はシェアの多いVisa、もう1枚は同じくシェアの多いMastercardか、国内で利用可能店舗の多いJCBがよいでしょう。
クレカ投資とは?ポイントも貯まる積立の仕組みと対応カード
今どきは資産形成をする際にもクレジットカードを利用することができ、「クレカ投資」とも呼ばれます。
クレカ投資とは、クレジットカードで投資信託などの積立投資ができるサービスのことです。クレカ積立と呼ばれることもあります。クレカ投資は、クレジットカード会社が、提携先証券会社やグループ内証券会社を通してサービスを提供しています。
基本的に1か月10万円までであればクレジットカード決済を利用でき、NISAに対応しているところも多くあります。クレカ投資をすることで、クレジットカードのポイントも貯めることができます。
ただし、クレカ投資ができるクレジットカードは、金融機関によって異なります。主なクレジットカードと金融機関、貯まる・使えるポイントの種類は以下の通りです。
・SBI証券
利用できるカード:
三井住友カード、JCBカード、東急カード、オリコカード、アプラスカード、タカシマヤカード、UCSカード、大丸松坂屋カード
貯まる・使えるポイント:
PayPayポイント、Pontaポイント、dポイント、Vポイント、J-POINT、JALマイル
・楽天証券
利用できるカード:
楽天カード
貯まる・使えるポイント:
楽天ポイント
・マネックス証券
利用できるカード:
dカード、マネックスカード、JCBカード
貯まる・使えるポイント:
dポイント、マネックスポイント、J-POINT、タネカブポイント
・三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)
利用できるカード:
三菱UFJカード、au PAYカード
貯まる・使えるポイント:
グローバルポイント、Pontaポイント
なお、ポイントの還元率はクレジットカードの種類や金融機関によって違いがあります。
クレジットカードの信用を守るには?使い方のまとめ
クレジットカードは、上手に利用すれば生活を便利でお得にしてくれます。しかし逆に、使い方を誤ればそうした便利さやお得さを享受できなくなってしまいます。自分に合ったクレジットカードを選び、信用を失うNGな使い方をしないようにしつつ、正しく使いこなしていきましょう。
参考リンク:
・日本クレジット協会:「クレジットカード不正利用被害の発生状況」
執筆:高山 一恵(たかやま かずえ)
(株)Money&You取締役/ファイナンシャルプランナー
中央大学商学部客員講師。一般社団法人不動産投資コンサルティング協会理事。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。NHK「日曜討論」「クローズアップ現代」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「マンガと図解 はじめての資産運用」(宝島社)など書籍120冊、累計200万部超。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
X(旧Twitter)→@takayamakazue
信用を守ることは、お金の土台づくりの第一歩です。次は、その土台の上でどう資産を育てるかを考えてみませんか。
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